国産農産物の品質競争力と安全性

我が国では国産農産物は輸入品より「安全・安心」であるとの見方が根強い.しかし,安全性が国産品の品質優位な状況を確立するのか否かを検証した分析は見当たらない.本稿ではWTO/SPS協定を考慮しつつ,二国間貿易モデルにより安全性と品質競争力の関係を検証した.理論的な余剰分析からは,輸入国が科学的根拠に基づき食品安全に関する措置を変更する場合,総余剰最大化の観点から,輸入品について国産品と同水準の主観的安全性を確保する必要があることがわかった.日米間のBSE事案からも主観的安全性の平準化の傾向を確認できる.こうした状況は,安全性は国産品の品質競争力を確立する要因にはならないことを示唆している....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNōgyō keizai kenkyu Vol. 86; no. 2; pp. 103 - 113
Main Author 阪本, 亮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農業経済学会 01.09.2014
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0387-3234
2188-1057
DOI10.11472/nokei.86.103

Cover

More Information
Summary:我が国では国産農産物は輸入品より「安全・安心」であるとの見方が根強い.しかし,安全性が国産品の品質優位な状況を確立するのか否かを検証した分析は見当たらない.本稿ではWTO/SPS協定を考慮しつつ,二国間貿易モデルにより安全性と品質競争力の関係を検証した.理論的な余剰分析からは,輸入国が科学的根拠に基づき食品安全に関する措置を変更する場合,総余剰最大化の観点から,輸入品について国産品と同水準の主観的安全性を確保する必要があることがわかった.日米間のBSE事案からも主観的安全性の平準化の傾向を確認できる.こうした状況は,安全性は国産品の品質競争力を確立する要因にはならないことを示唆している.
Bibliography:873567
ZZ00015633
ISSN:0387-3234
2188-1057
DOI:10.11472/nokei.86.103