黒毛和種育成雌牛でみられた多発性の皮膚粘液腫の1例

11カ月齢の黒毛和種雌牛において胸垂に直径6 cmの有茎状の腫瘤が発生し,腫瘤の切除を行った.病理組織学的及び免疫組織学的所見に基づき粘液腫と診断した.術後約2カ月で切除部位に腫瘍が再発し,その後1カ月間に右肩部,左右頸部及び下顎に0.5~1 cmの小型の同腫瘍が多発したため,計5カ所の切除を行った.臨床経過,病理組織学的所見から,多発性粘液腫と診断した.術後10カ月時点では切除部位での再発は認められず,新たな腫瘍も発生していない.牛において粘液腫はまれな腫瘍であり,外科的治療に関する報告は少なく,これまで多発した症例の報告はない.皮膚粘液腫が多発した要因について,本症例では精査できていないが...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 76; no. 11; pp. e313 - e317
Main Authors 太田, 和広, 伊藤, 理子, 真田, 慶之助, 菅野, 宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 2023
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.76.e313

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Summary:11カ月齢の黒毛和種雌牛において胸垂に直径6 cmの有茎状の腫瘤が発生し,腫瘤の切除を行った.病理組織学的及び免疫組織学的所見に基づき粘液腫と診断した.術後約2カ月で切除部位に腫瘍が再発し,その後1カ月間に右肩部,左右頸部及び下顎に0.5~1 cmの小型の同腫瘍が多発したため,計5カ所の切除を行った.臨床経過,病理組織学的所見から,多発性粘液腫と診断した.術後10カ月時点では切除部位での再発は認められず,新たな腫瘍も発生していない.牛において粘液腫はまれな腫瘍であり,外科的治療に関する報告は少なく,これまで多発した症例の報告はない.皮膚粘液腫が多発した要因について,本症例では精査できていないが,人においては遺伝子異常に起因する疾患があるため,今後も腫瘍の発生について経過観察が必要と考えられる.
Bibliography:ZZ00014801
950498
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.76.e313