と畜検査における羊の眼房水からの血漿生化学値の推定

羊のと畜検査における尿毒症と黄疸の数値的裏付けとして,眼房水が血液の代替検体になり得るか調査した.と畜場に搬入されたサフォーク種(Ovis aries)61頭の血漿と眼房水を用いて,各生化学値(尿素窒素,クレアチニン,総ビリルビン)の測定後に相関分析と回帰分析を行った.すべての項目で測定値は血漿の方が眼房水よりも高かった(P<0.05).尿素窒素では,去勢群と雌群で共に高い相関係数と決定係数が認められた.クレアチニンでは,去勢群で高い相関係数と決定係数が認められた.総ビリルビンでは,相関関係が認められなかった.以上のことから,採血困難時には,眼房水を用いて羊の尿毒症を推定評価できるが,雌では精...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 75; no. 10; pp. e186 - e190
Main Authors 森谷, 毅, 小川, みづほ, 畑, 大二郎, 岡田, 純子, 久保田, 耕史, 堀川, 朝広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 2022
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma.75.e186

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Summary:羊のと畜検査における尿毒症と黄疸の数値的裏付けとして,眼房水が血液の代替検体になり得るか調査した.と畜場に搬入されたサフォーク種(Ovis aries)61頭の血漿と眼房水を用いて,各生化学値(尿素窒素,クレアチニン,総ビリルビン)の測定後に相関分析と回帰分析を行った.すべての項目で測定値は血漿の方が眼房水よりも高かった(P<0.05).尿素窒素では,去勢群と雌群で共に高い相関係数と決定係数が認められた.クレアチニンでは,去勢群で高い相関係数と決定係数が認められた.総ビリルビンでは,相関関係が認められなかった.以上のことから,採血困難時には,眼房水を用いて羊の尿毒症を推定評価できるが,雌では精度の高いクレアチニン推定値を得にくいと考えられた.また,眼房水を用いての黄疸評価はできないと考えられた.
Bibliography:ZZ00014801
945422
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.75.e186