コナガPlutella xylostellaにおける雌性先熟
農家のキャベツ圃場で採集したコナガの蛹を20°Cの恒温器内で羽化させ,雌雄の羽化消長を比較した。雌の蛹の羽化までに要した日数の中央値は雄の蛹のそれより1∼2日小さかった。15°C, 20°Cおよび25°Cの三つの恒温条件下でキャベツを餌として120頭ずつ個体飼育し,雌雄の発育の経過を比較した。卵期および幼虫期には雌雄差は認められなかったが,蛹期には雌雄差が認められた。この結果,卵∼羽化までの発育期間には雌雄差が認められた。11月10日(第1グループ)と11月30日(第2グループ)に産下されたコナガの卵を圃場内の百葉箱内で個体飼育したところ,第1のグループは1月5日∼1月18日に,第2のグループ...
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Published in | Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi Vol. 41; no. 4; pp. 217 - 223 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本応用動物昆虫学会
01.11.1997
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ISSN | 0021-4914 1347-6068 |
DOI | 10.1303/jjaez.41.217 |
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Summary: | 農家のキャベツ圃場で採集したコナガの蛹を20°Cの恒温器内で羽化させ,雌雄の羽化消長を比較した。雌の蛹の羽化までに要した日数の中央値は雄の蛹のそれより1∼2日小さかった。15°C, 20°Cおよび25°Cの三つの恒温条件下でキャベツを餌として120頭ずつ個体飼育し,雌雄の発育の経過を比較した。卵期および幼虫期には雌雄差は認められなかったが,蛹期には雌雄差が認められた。この結果,卵∼羽化までの発育期間には雌雄差が認められた。11月10日(第1グループ)と11月30日(第2グループ)に産下されたコナガの卵を圃場内の百葉箱内で個体飼育したところ,第1のグループは1月5日∼1月18日に,第2のグループは2月13日∼2月27日に羽化した。変温下でのこの二つの飼育試験でも蛹化までの発育期間には雌雄差は認められなかったが,羽化時期に関しては雌雄差が認められ,雌は雄より2∼3日早く羽化した。これらの結果からコナガは雌性先熟を示す昆虫であると考えられた。コナガの雌性先熟の適応的意義は明らかでないが近親交配の回避をもたらす可能性が考えられた。 |
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Bibliography: | 562307 ZZ00014825 |
ISSN: | 0021-4914 1347-6068 |
DOI: | 10.1303/jjaez.41.217 |