ISO14001を含む環境マネジメント手法の環境負荷管理への影響

自主的な環境活動がはたして環境負荷を削減しうるのかについては議論のあるところである。本研究では,自主的管理である環境マネジメント手法の導入が事業所の環境負荷管理に与える影響を調べるために,事業所に対するアンケート調査およびインタビュー調査を実施し,統計的解析を実施した。経済理論や政策経済理論から,排出に関する自主基準設定などの環境負荷管理を導入する理由として,外部圧力,競争上の利点,社会的責任,組織的要因およびISOI4001を含む環境マネジメント手法を取り上げた。統計的解析によると,ISOI4001の導入は,エネルギー消費・廃棄物発生量,法的規制のある排出,DfE(環境適合設計)および仕入れ...

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Published in環境科学会誌 Vol. 18; no. 3; pp. 277 - 289
Main Authors 森, 保文, 吉田, 早苗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 環境科学会 2005
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ISSN0915-0048
1884-5029
DOI10.11353/sesj1988.18.277

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Summary:自主的な環境活動がはたして環境負荷を削減しうるのかについては議論のあるところである。本研究では,自主的管理である環境マネジメント手法の導入が事業所の環境負荷管理に与える影響を調べるために,事業所に対するアンケート調査およびインタビュー調査を実施し,統計的解析を実施した。経済理論や政策経済理論から,排出に関する自主基準設定などの環境負荷管理を導入する理由として,外部圧力,競争上の利点,社会的責任,組織的要因およびISOI4001を含む環境マネジメント手法を取り上げた。統計的解析によると,ISOI4001の導入は,エネルギー消費・廃棄物発生量,法的規制のある排出,DfE(環境適合設計)および仕入れ点検のいずれの環境負荷管理にも有意に働いた。特にエネルギー・廃棄物に対する効果は高かった。インタビュー調査によると,環境負荷管理の数値目標の多くはISO14001導入を契機として設定された。設定された数値目標は必ずしも簡単なものではなかったが,達成の方向にあった。以上から,ISO14001は環境負荷削減に有効な手法であり,その普及が望まれるが,規制排出については改善の余地があり,また広範囲の環境負荷管理の改善のためには他の手法の普及も必要と考えられた。
ISSN:0915-0048
1884-5029
DOI:10.11353/sesj1988.18.277