振動によるモモ果実の劣化を軽減するための包装の改良

モモの輸送に用いられる包装を最適化し, 輸送振動による果実の劣化を防止するために, 段ボール箱内の底面中央部における隙間が振動による果実の回転に及ぼす影響を調査した。また, そのような回転の発生を軽減する方法として, フルーツキャップに粘着性を付与する効果について検討した。内部底面に隙間を有する段ボール箱にウレタンシートを敷き, その上にフルーツキャップで包まれた果実を詰めた一般的な包装形態においては, 実際の輸送レベルの振動によっても果実の回転が発生することが明らかとなった。しかし, 箱内底面の隙間を減少させた場合, 果実の回転は有意に減少した。さらに, フルーツキャップへの粘着性付与は,...

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Published inFood preservation science Vol. 34; no. 6; pp. 331 - 336
Main Authors 北澤, 裕明, 椎名, 武夫, 石川, 豊, 路, 飛, 中村, 宣貴
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本食品保蔵科学会 2008
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ISSN1344-1213
2186-1277
DOI10.5891/jafps.34.331

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Summary:モモの輸送に用いられる包装を最適化し, 輸送振動による果実の劣化を防止するために, 段ボール箱内の底面中央部における隙間が振動による果実の回転に及ぼす影響を調査した。また, そのような回転の発生を軽減する方法として, フルーツキャップに粘着性を付与する効果について検討した。内部底面に隙間を有する段ボール箱にウレタンシートを敷き, その上にフルーツキャップで包まれた果実を詰めた一般的な包装形態においては, 実際の輸送レベルの振動によっても果実の回転が発生することが明らかとなった。しかし, 箱内底面の隙間を減少させた場合, 果実の回転は有意に減少した。さらに, フルーツキャップへの粘着性付与は, 振動による果実の回転抑制に有効であることが明らかとなった。そこで, これらの組み合わせが振動による果実の外観や硬度の変化に及ぼす影響を調査したところ, これらの処理により果皮変色の発生は軽減されなかったが, 毛じの剥離および果実硬度の低下は有意に軽減された。以上より, 箱内底面の隙間を減らし, フルーツキャップへ粘着性を付与することにより, 輸送振動により引き起こされるモモ果実における毛じの剥離や硬度低下の発生を軽減することができると考えられた。
Bibliography:ZZ00016464
770050
ISSN:1344-1213
2186-1277
DOI:10.5891/jafps.34.331