貯蔵中のランブータン果実の細胞壁代謝に及ぼす低温障害の影響

貯蔵中のランブータン果実における低温障害が細胞壁代謝に及ぼす影響を検討した.低温障害は8℃で貯蔵された果実の果皮のみで観察された.果皮の細胞壁構成成分の80%程度, 果肉では60%程度がセルロースだった.果皮の硬度は13℃下に比べ8℃下で貯蔵された果実で低下し, 貯蔵日数とともに減少した.しかしながら, 8℃下の果実での果皮のセルロース濃度は13℃下よりもむしろ高かった.この結果は, 組織中にセルロースがある濃度以上含有されていると, 硬度の変化に影響しない可能性を示唆する.この閾値は27g・kg-1FW以上と考えられた.一方, ヘキサメタリン酸ナトリウム可溶性ペクチン (HMP) は13℃下...

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Published inNettai nōgyō Vol. 46; no. 4; pp. 259 - 264
Main Author 近藤, 悟
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本熱帯農業学会 01.12.2002
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ISSN0021-5260
2185-0259
DOI10.11248/jsta1957.46.259

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Summary:貯蔵中のランブータン果実における低温障害が細胞壁代謝に及ぼす影響を検討した.低温障害は8℃で貯蔵された果実の果皮のみで観察された.果皮の細胞壁構成成分の80%程度, 果肉では60%程度がセルロースだった.果皮の硬度は13℃下に比べ8℃下で貯蔵された果実で低下し, 貯蔵日数とともに減少した.しかしながら, 8℃下の果実での果皮のセルロース濃度は13℃下よりもむしろ高かった.この結果は, 組織中にセルロースがある濃度以上含有されていると, 硬度の変化に影響しない可能性を示唆する.この閾値は27g・kg-1FW以上と考えられた.一方, ヘキサメタリン酸ナトリウム可溶性ペクチン (HMP) は13℃下に比べ8℃下で低く, 貯蔵中減少した.この結果は, HMP濃度が, 低温障害が引き起こされた果実の果皮硬度に影響したことを示唆する.果肉のセルロース濃度は8℃および13℃の両温度下で, 3g・kg-1FW程度であり, 他の細胞壁構成成分に比べ高かった.果肉のHMP濃度は13℃下に比べ8℃下で低かったが, 硬度に有意差は観察されなかった.果皮と異なり, セルロース濃度が強く影響したと考えられた.
Bibliography:662205
ZZ00014546
ISSN:0021-5260
2185-0259
DOI:10.11248/jsta1957.46.259