F344ラットにおける食道拡張の発生
F344ラットを用いた農薬の慢性経餌投与試験において, 胃の噴門における食餌の通過障害を伴う食道拡張症が発生した。症状はインフルエンザ様発作に始まり, 10週間程度の経過後に食物の噴出を伴う強い発咳を呈し動物は衰弱死した。胃ゾンデを挿入すると噴門部で完全に阻止された。動物の細菌学的および免疫学的検査では, 肺炎をもたらす病原体の感染は証明されなかった。剖検では食道が著しく拡張し, 内部に軟泥状の粉末飼料が充満していた。また, 肺には大小の無気肺巣が認められた。組織学的には化膿性炎症が肺, 中耳および鼻腔に観察されたが, 抹梢神経および中枢神経には本疾患の症状に対応するような病変はなかった。雌ラ...
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Published in | Japanese journal of veterinary science Vol. 48; no. 3; pp. 539 - 546 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本獣医学会
1986
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ISSN | 0021-5295 1881-1442 |
DOI | 10.1292/jvms1939.48.539 |
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Summary: | F344ラットを用いた農薬の慢性経餌投与試験において, 胃の噴門における食餌の通過障害を伴う食道拡張症が発生した。症状はインフルエンザ様発作に始まり, 10週間程度の経過後に食物の噴出を伴う強い発咳を呈し動物は衰弱死した。胃ゾンデを挿入すると噴門部で完全に阻止された。動物の細菌学的および免疫学的検査では, 肺炎をもたらす病原体の感染は証明されなかった。剖検では食道が著しく拡張し, 内部に軟泥状の粉末飼料が充満していた。また, 肺には大小の無気肺巣が認められた。組織学的には化膿性炎症が肺, 中耳および鼻腔に観察されたが, 抹梢神経および中枢神経には本疾患の症状に対応するような病変はなかった。雌ラットでの発生は雄ラットに比し高かった。本疾患の発生率は, 今回検索した12の慢性毒性試験のそれぞれ異なっていた。最も高い発生率を示した試験では, 試験期間中に斃死あるいは衰弱のため29/50例が途中解剖に供されたが, そのうち23例が本疾患と診断された。本疾患の大部分は70週齢以降の動物に発生した。 |
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Bibliography: | ZZ00004647 361406 |
ISSN: | 0021-5295 1881-1442 |
DOI: | 10.1292/jvms1939.48.539 |