麺の乾燥および吸水動力学

乾燥過程および吸水過程における食品中の水の移動挙動は,製造時および調理時の条件によって大きく異なり,その挙動により,食品の品質は大きな影響を受ける.経験と試行錯誤に多くを頼ってきた既存の製造法では,近年の健康志向や美味しさへの飽くなき追求といった多様な要求に対して,迅速かつ的確に応えることが困難である.そのため,合理的な食品製造を可能にする体系的な理論研究が強く求められてきた.しかし,水の移動現象と移動機構,それらが食感などの品質に及ぼす影響については,必ずしも十分に解明されていないように思われる.筆者らは,粗挽きの小麦粉であるデュラムセモリナのみからなり,組成が単純なパスタを研究対象として,...

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Published inJapan Journal of Food Engineering Vol. 21; no. 1; pp. 25 - 36
Main Author 小川, 剛伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本食品工学会 15.03.2020
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ISSN1345-7942
1884-5924
DOI10.11301/jsfe.20567

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Summary:乾燥過程および吸水過程における食品中の水の移動挙動は,製造時および調理時の条件によって大きく異なり,その挙動により,食品の品質は大きな影響を受ける.経験と試行錯誤に多くを頼ってきた既存の製造法では,近年の健康志向や美味しさへの飽くなき追求といった多様な要求に対して,迅速かつ的確に応えることが困難である.そのため,合理的な食品製造を可能にする体系的な理論研究が強く求められてきた.しかし,水の移動現象と移動機構,それらが食感などの品質に及ぼす影響については,必ずしも十分に解明されていないように思われる.筆者らは,粗挽きの小麦粉であるデュラムセモリナのみからなり,組成が単純なパスタを研究対象として,乾燥および吸水過程で生起する水の移動現象とその機構,品質への影響を調べてきた.本論文では,これまでに得られた筆者らの知見について解説した.
Bibliography:ZZ20014033
931902
ISSN:1345-7942
1884-5924
DOI:10.11301/jsfe.20567