絹糸腺内液状絹フィブロインと希薄絹フィブロイン水溶液の小角X線散乱

家蚕絹糸腺内液状絹フィブロインの乾燥過程における構造形成過程と絹フィブロインの希薄溶液中での分子形態を小角X線散乱を用いて検討した。 絹糸腺内液状絹フィブロインの乾燥による構造形成過程は, silk I型結晶が形成されるとされている乾燥温度22℃では, ドメイン構造が乾燥時の初期過程で形成され, このドメインの中心間距離は約130Åであった。一方, 結晶化は水分率約65wt%となると急激に進行し, この際, 相関関数がより明瞭になることが明らかとなった。silk II型結晶の形成される温度においても, 乾燥によるドメイン形成と結晶化, および相関関数の明瞭化の現象は silk I型結晶の形成と...

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Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 59; no. 6; pp. 475 - 479
Main Authors 塚田, 益裕, 奈倉, 正宣, 梶原, 莞爾, 柊, 弓紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 01.12.1990
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ISSN0037-2455
1884-796X
DOI10.11416/kontyushigen1930.59.475

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Summary:家蚕絹糸腺内液状絹フィブロインの乾燥過程における構造形成過程と絹フィブロインの希薄溶液中での分子形態を小角X線散乱を用いて検討した。 絹糸腺内液状絹フィブロインの乾燥による構造形成過程は, silk I型結晶が形成されるとされている乾燥温度22℃では, ドメイン構造が乾燥時の初期過程で形成され, このドメインの中心間距離は約130Åであった。一方, 結晶化は水分率約65wt%となると急激に進行し, この際, 相関関数がより明瞭になることが明らかとなった。silk II型結晶の形成される温度においても, 乾燥によるドメイン形成と結晶化, および相関関数の明瞭化の現象は silk I型結晶の形成と基本的には等しいことがわかった。 希薄溶液中の絹フィブロインの分子形態は, 厚さ約8-14Å, 回転半径約30Åの円板型であることを明らかにし, 親水性基を含むペプチド鎖が, 疎水性ペプチド鎖をサンドイッチ状にはさむことにより水への溶解を容易にしていると考えた。
Bibliography:ZZ00018606
480329
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.59.475