チュウゴクナシ'鴨梨'果実の高濃度炭酸ガスおよび低濃度酸素環境に対する生理的反応
チュウゴクナシ (Pyrus ussuriensis Maxim. var.sinensis Kikuchi) '鴨梨'果実の流通•貯蔵技術の基礎資料を得る目的で, 高濃度CO2および低濃度O2環境に対する生理的反応をガス代謝自動計測装置を用いて呼吸活性とC2H4生成の側面から調査した. さらに,ポリエチレン袋密封貯蔵によるガス耐性についても検討を加えた.1.'鴨梨'果実のO2吸収とC2H4生成は, 20°C下,0~40%の範囲内ではCO2濃度の上昇に伴って徐々に低下した. CO2濃度が60%になるとC2H4生成は顕著に抑制されたもののO2吸収は逆に増加...
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Published in | Engei Gakkai zasshi Vol. 66; no. 3-4; pp. 613 - 620 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 園芸学会
01.12.1997
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ISSN | 0013-7626 1880-358X |
DOI | 10.2503/jjshs.66.613 |
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Summary: | チュウゴクナシ (Pyrus ussuriensis Maxim. var.sinensis Kikuchi) '鴨梨'果実の流通•貯蔵技術の基礎資料を得る目的で, 高濃度CO2および低濃度O2環境に対する生理的反応をガス代謝自動計測装置を用いて呼吸活性とC2H4生成の側面から調査した. さらに,ポリエチレン袋密封貯蔵によるガス耐性についても検討を加えた.1.'鴨梨'果実のO2吸収とC2H4生成は, 20°C下,0~40%の範囲内ではCO2濃度の上昇に伴って徐々に低下した. CO2濃度が60%になるとC2H4生成は顕著に抑制されたもののO2吸収は逆に増加し, ガス障害が発生した.2.20°C下で貯蔵環境中のO2濃度を20, 10,5,3,1,0%と1日毎に低下させると, O2濃度の低下に伴って呼吸活性とC2H4生成は一貫して低下した. ただし, 5%以下のO2濃度ではCO2排出がO2吸収を上回り, 嫌気呼吸の誘導が示唆された.3.5% CO2+3% O2条件では, 10, 20°Cいずれの温度下でも貯蔵4日以後にはO2吸収量およびCO2排出量のいずれからみても呼吸活性が上昇し, 同時にガス障害が発生した.4.10°C下で0.03mm厚低密度ポリエチレン袋に3個の果実をソーダライムとともに封入すると, 袋内のO2濃度は約8%になり, 有孔ポリエチレン袋に入れた対照区の果実より約1か月貯蔵期間が延長された.袋内のO2濃度が5%以下またはCO2濃度が5%以上になるような他のポリエチレン袋密封条件では, 果肉内にエタノール蓄積が起こるとともにガス障害が発生し, 対照区よりも貯蔵期間が短くなった.以上の結果より, '鴨梨'果実は高濃度CO2および低O2環境に対する耐性が低く, 2%程度のCO2と8%程度のO2条件のみが貯蔵延長効果をもつように思われた. |
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Bibliography: | 561921 ZZ00015006 |
ISSN: | 0013-7626 1880-358X |
DOI: | 10.2503/jjshs.66.613 |