中国農業の選択的拡大 生産補助政策下における作物選択の合理性
中国では持続的な経済成長や急速に進む都市化,小売業の近代化やサプライ・チェーンの垂直統合により,近年食生活に構造的な変化がみられる.このような状況下で,農業収益の拡大を目指す農家は,消費パターンの変化にあわせて栽培する作物を変化させる必要がある.本稿では産出距離関数の推計を通して,中国農業の産出に関する配分効率性,つまり作物構成の経済合理性を検討した.計測結果は食用および加工・飼料用穀物の生産が,野菜・果実に比べ相対的に過剰であることを示しており,その傾向は生産補助政策がスタートした2000年代央から顕著となった.また,同時期に技術効率性も悪化している.このことは,食糧自給を目的とする政府の要...
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| Published in | Nōgyō keizai kenkyu Vol. 85; no. 1; pp. 1 - 15 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本農業経済学会
01.06.2013
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0387-3234 2188-1057 |
| DOI | 10.11472/nokei.85.1 |
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| Summary: | 中国では持続的な経済成長や急速に進む都市化,小売業の近代化やサプライ・チェーンの垂直統合により,近年食生活に構造的な変化がみられる.このような状況下で,農業収益の拡大を目指す農家は,消費パターンの変化にあわせて栽培する作物を変化させる必要がある.本稿では産出距離関数の推計を通して,中国農業の産出に関する配分効率性,つまり作物構成の経済合理性を検討した.計測結果は食用および加工・飼料用穀物の生産が,野菜・果実に比べ相対的に過剰であることを示しており,その傾向は生産補助政策がスタートした2000年代央から顕著となった.また,同時期に技術効率性も悪化している.このことは,食糧自給を目的とする政府の要素市場への介入が,技術フロンティアと最適な作物構成からの乖離を助長したことを示唆している. |
|---|---|
| Bibliography: | 852977 ZZ00015633 |
| ISSN: | 0387-3234 2188-1057 |
| DOI: | 10.11472/nokei.85.1 |