都市緑地における草本植生の特徴 東京都立農業高等学校神代農場の植生解析

人工構造物が密集する大都市の緑地は、都市気候の緩和、自然な状態での動植物の生息地、市民の憩いの場の提供などの空間として活用されている。2016年、2017年に、さまざまな観点から、東京都調布市に所在する都市緑地・東京都立農業高等学校神代農場(約2.5 ha)および隣接する草地の調査を行った。本稿はその中、農場内と草地に区分して維持されている6つの景観(森林由来の3植生群:① 放置してある森林、② 下草刈りと落ち葉掻きを行っている森林、③ 伐採・耕作後、放棄された放棄畑;野草の2植生群:④ 水田脇畦畔、⑤ 市民が散歩や運動に利用している草地;および ⑥ 孟宗竹林)の孟宗竹林を除く5つの景観におけ...

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Published inJournal of the Japanese Agricultural Systems Society Vol. 36; no. 2; pp. 17 - 26
Main Authors 紺野, 由佳, 小作, 明則, 柴田, 千晶, 塩見, 正衞, 齋藤, 義弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published システム農学会 31.08.2020
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ISSN0913-7548
2189-0560
DOI10.14962/jass.36.2_17

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Summary:人工構造物が密集する大都市の緑地は、都市気候の緩和、自然な状態での動植物の生息地、市民の憩いの場の提供などの空間として活用されている。2016年、2017年に、さまざまな観点から、東京都調布市に所在する都市緑地・東京都立農業高等学校神代農場(約2.5 ha)および隣接する草地の調査を行った。本稿はその中、農場内と草地に区分して維持されている6つの景観(森林由来の3植生群:① 放置してある森林、② 下草刈りと落ち葉掻きを行っている森林、③ 伐採・耕作後、放棄された放棄畑;野草の2植生群:④ 水田脇畦畔、⑤ 市民が散歩や運動に利用している草地;および ⑥ 孟宗竹林)の孟宗竹林を除く5つの景観における幼樹を含む草本植生の調査を行った。調査の目的は、出現種と植生特性の記載と解析である。調査では、いずれの植生においても、50 x 50 cmのコドラートを80個(合計面積20 m²)置き、コドラートごとに出現した種名を記録した。出現種数は、森林由来植生で各約50種、野草植生の水田畦畔で約40種、草地で約20種であった。本調査の植生で、出現した植物種ごとの出現量と空間分布特性を、べき乗則に従って解析できることを確認した。各植生間の20 m²当り種構成の不均一性(相異度)は、森林由来植生群内の3つの植生間および、野草植生群内の2つの植生間では比較的小さかったが、森林由来植生群と野草植生群の間では非常に大きく、観察した5つの植生は森林由来植生群と野草植生群に大別できた。
Bibliography:935875
ZZ00011894
ISSN:0913-7548
2189-0560
DOI:10.14962/jass.36.2_17