人工飼料の水分率が家蚕の水分の利用に及ぼす影響

準合成飼料で飼育した5齢起蚕を用いて, 水分率を変えた飼料で5齢期を飼育し, 飼料水分率が幼虫の生理に及ぼす影響に関して検討した。得られた結果は次のごとくである。 1. 飼料の水分率が異なる区間において幼虫の乾物食下量は大差がなかった。また飼料水分率の上昇に伴って, 摂取する水分量は増加した。 2. 飼料水分率の上昇に伴って生体重が増加したが, この生体重の増加は幼虫体水分量の増加に起因しており, 体乾物重に対する影響は弱かった。ただし75%の高水分率区においては, 体乾物重は他区に比べてやや少なかった。 3. 体水分率は飼料水分率に強く依存しており, 飼料水分率上昇につれて体水分率も上昇した...

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Published inNihon sanshigaku zasshi Vol. 41; no. 3; pp. 175 - 180
Main Authors 堀江, 保宏, 井口, 民夫, 柳川, 弘明, 中曾根, 正一, 渡辺, 喜二郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本蚕糸学会 28.06.1972
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ISSN0037-2455
1884-796X
DOI10.11416/kontyushigen1930.41.175

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Summary:準合成飼料で飼育した5齢起蚕を用いて, 水分率を変えた飼料で5齢期を飼育し, 飼料水分率が幼虫の生理に及ぼす影響に関して検討した。得られた結果は次のごとくである。 1. 飼料の水分率が異なる区間において幼虫の乾物食下量は大差がなかった。また飼料水分率の上昇に伴って, 摂取する水分量は増加した。 2. 飼料水分率の上昇に伴って生体重が増加したが, この生体重の増加は幼虫体水分量の増加に起因しており, 体乾物重に対する影響は弱かった。ただし75%の高水分率区においては, 体乾物重は他区に比べてやや少なかった。 3. 体水分率は飼料水分率に強く依存しており, 飼料水分率上昇につれて体水分率も上昇した。低水分率飼料では5齢初期より水分率が減少したが, 高水分率飼料区では後期に減少が認められた。 4. 5齢期間における水分留存率は約34%であって, 75%水分率では顕著に低く, 雌は雄よりも留存率がやや高い傾向が認められた。また水分留存率は熟蚕期に著しく低下した。 5. 乾物の消化率は飼料水分率の高い場合に高まるが, 一方乾物留存率は水分率の高い場合に, かえって低下する傾向が認められた。
Bibliography:ZZ00018606
53182
ISSN:0037-2455
1884-796X
DOI:10.11416/kontyushigen1930.41.175