埼玉県の水田皮膚炎に関する研究 (2) 水田棲息の貝類の調査

埼玉県中央部より, 東部にかけて水田作業中の農民の間に発生する水田皮膚炎は, 発症水田およびその付近に棲息する貝を調査した結果, ヒメモノアラガイより, Schistosomatidaeに属する吸虫の岐尾セルカリアを検出した。このセルカリアを人体の皮膚上においた場合, 10~20分後には局部にかゆみと共に, 小紅斑を生じ, 一部には丘疹を作り, 水田皮膚炎の症状と全く同じ状態となった。 このことから, ヒメモノアラガイからえた。 本セルカリアの人体の皮膚侵入が, 埼玉県における水田皮膚炎の原因であろうと推定された。本セルカリアの形態についての詳細な検討を行なったところ, Trichobilha...

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Published inNihon Nōson Igakkai zasshi Vol. 21; no. 5; pp. 484 - 490
Main Authors 武井, 伸一, 鈴木, 了司, 沢浦, 正三郎, 小津, 茂弘, 会田, 忠次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 01.03.1973
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.21.5_484

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Summary:埼玉県中央部より, 東部にかけて水田作業中の農民の間に発生する水田皮膚炎は, 発症水田およびその付近に棲息する貝を調査した結果, ヒメモノアラガイより, Schistosomatidaeに属する吸虫の岐尾セルカリアを検出した。このセルカリアを人体の皮膚上においた場合, 10~20分後には局部にかゆみと共に, 小紅斑を生じ, 一部には丘疹を作り, 水田皮膚炎の症状と全く同じ状態となった。 このことから, ヒメモノアラガイからえた。 本セルカリアの人体の皮膚侵入が, 埼玉県における水田皮膚炎の原因であろうと推定された。本セルカリアの形態についての詳細な検討を行なったところ, Trichobilharziaに属するものと考えられるが, その種の決定については将来の研究にまちたい。
Bibliography:64344
ZZ00011651
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.21.5_484