カワヤツメ皮膚表皮にみられる粘液細胞の微細構造

カワヤツメ皮膚表皮の粘液細胞は表層粘液細胞と中層粘液細胞の二つに分けられる.これら二つの細胞に共通してみられる構造上の一特徴は直径約7nmのブイラメントを豊富に含んでいることである.この意味において, 本粘液細胞は粘液をもつブイラメント含有細胞ということができ, 硬骨魚類の皮膚表皮にみられる典型的な粘液細胞と異なっている.粘液は表層粘液細胞から細胞外へ放出される.放出は細胞遊離面の単一の開口部からではなく, 粘液小胞の膜と癒合した原形質膜が局所的に破れることによって形成された遊離面上のいくつかの開口部から行われる.形態的に被覆小胞とみなされる構造物が本粘液細胞の原形質膜に接した細胞質にみられた...

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Published inGyoruigaku zasshi Vol. 29; no. 1; pp. 69 - 76
Main Author 佐藤, 光雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人 日本魚類学会 30.06.1982
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ISSN0021-5090
1884-7374
DOI10.11369/jji1950.29.69

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Summary:カワヤツメ皮膚表皮の粘液細胞は表層粘液細胞と中層粘液細胞の二つに分けられる.これら二つの細胞に共通してみられる構造上の一特徴は直径約7nmのブイラメントを豊富に含んでいることである.この意味において, 本粘液細胞は粘液をもつブイラメント含有細胞ということができ, 硬骨魚類の皮膚表皮にみられる典型的な粘液細胞と異なっている.粘液は表層粘液細胞から細胞外へ放出される.放出は細胞遊離面の単一の開口部からではなく, 粘液小胞の膜と癒合した原形質膜が局所的に破れることによって形成された遊離面上のいくつかの開口部から行われる.形態的に被覆小胞とみなされる構造物が本粘液細胞の原形質膜に接した細胞質にみられたが, この構造物は本粘液細胞特有のものとは考えられない.
Bibliography:260537
ZZ20005607
ISSN:0021-5090
1884-7374
DOI:10.11369/jji1950.29.69