ラットの成長応答にみられるアマランス(食用赤色2号)の大量投与毒性の特徴

強制投与法により摂取栄養素を等量にした条件で,ラットに4%アマランス(食用赤色2号, Am)を単独に,あるいは7,5%ゴボウ食物繊維(GDF)と同時に投与したときの成長応答を調べた.また,無タンパク質飼料(PF飼料)中に5%Amと, 7.5%ビート食物繊維(BDF)を各単独に,あるいは両者を一緒に添加したときの成長応答も調べた.さらに,過剰のビタミンA(1500万IU)と,5%Amを短期間投与した後,基本飼料に切り替えたときの成長回復速度を比較検討した.その結果次の点が明らかとなった. (1) Am(4%)によるラットの成長遅延は,強制投与法により摂取栄養素量を自由摂取時の約1.6倍に増やして...

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Published inNippon nōgei kagakukaishi Vol. 65; no. 7; pp. 1083 - 1088
Main Authors 武田, 秀敏, 桐山, 修八
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 01.07.1991
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ISSN0002-1407
1883-6844
DOI10.1271/nogeikagaku1924.65.1083

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Summary:強制投与法により摂取栄養素を等量にした条件で,ラットに4%アマランス(食用赤色2号, Am)を単独に,あるいは7,5%ゴボウ食物繊維(GDF)と同時に投与したときの成長応答を調べた.また,無タンパク質飼料(PF飼料)中に5%Amと, 7.5%ビート食物繊維(BDF)を各単独に,あるいは両者を一緒に添加したときの成長応答も調べた.さらに,過剰のビタミンA(1500万IU)と,5%Amを短期間投与した後,基本飼料に切り替えたときの成長回復速度を比較検討した.その結果次の点が明らかとなった. (1) Am(4%)によるラットの成長遅延は,強制投与法により摂取栄養素量を自由摂取時の約1.6倍に増やしても出現したが,7.5%GDFの同時投与で元どおりに回復した. (2) PF飼料にAmを添加した場合,体重減少が加速された.しかし,7.5%BDFの同時投与でこれがわずかながら減速され, 3%カゼインの補足でPF群まで回復した. (3) 1500万IUのビタミンA投与により,ラットの成長は停止した. 4日後,基本飼料に戻したが,これ以後の回復期間に5匹中1匹が死亡した.また,生存ラットの10日間の平均成長速度は,無投与群のそれより明らかに遅かった.5%Amを投与した場合にも,過剰ビタミンA投与時と同程度の成長抑制を示したが,5日後に基本飼料に戻したときの成長は, Am投与前よりもむしろ高い速度で回復した. 以上のことからAmによる成長遅延は,摂取栄養素の利用と,内因性物質の再利用を阻害するために生ずるものであるが,この阻害は, Amが消化管を通過するときにだけ生ずる一過性のものであると結論した.
Bibliography:431506
ZZ00014810
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.65.1083