急速凍結で硝子化状態のまま保存されたマウス初期胚の生存性ならびに移植試験

マウス受精卵(前核期),桑実期および胚盤胞期胚,ならびに顕微切断によって得られた分離(胞胚期)の急速凍結保存実験を行った。すなわちRALL&FAHY(1985)が報告した液(数種の凍害保護剤を高濃度に含む)を利用して,試験胚を比較的低濃度液から高濃度の液(0~4°C)に移して脱水処理を施した。次いでこの胚を最も高濃度の液(PBS中にジメチルスルフォキシド20%,アセトアミド15.5%,プロピレングリコール10%およびポリエチレングリコール6%を含む)を保持するAIストロー(0.25ml内容)中に移した。ストローをそのまま直接液体窒素中に挿入浸積した。この凍結処置ではストロー内の保存液は...

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Published inKachiku hanshokugaku zasshi (Tōkyō. 1977) Vol. 32; no. 2; pp. 106 - 109
Main Authors 尾川, 昭三, 山川, 宏人, 山井, 淳子, 許, 登造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本繁殖生物学会 25.06.1986
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ISSN0385-9932
DOI10.1262/jrd1977.32.106

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Summary:マウス受精卵(前核期),桑実期および胚盤胞期胚,ならびに顕微切断によって得られた分離(胞胚期)の急速凍結保存実験を行った。すなわちRALL&FAHY(1985)が報告した液(数種の凍害保護剤を高濃度に含む)を利用して,試験胚を比較的低濃度液から高濃度の液(0~4°C)に移して脱水処理を施した。次いでこの胚を最も高濃度の液(PBS中にジメチルスルフォキシド20%,アセトアミド15.5%,プロピレングリコール10%およびポリエチレングリコール6%を含む)を保持するAIストロー(0.25ml内容)中に移した。ストローをそのまま直接液体窒素中に挿入浸積した。この凍結処置ではストロー内の保存液は硝子様の透明状態のまま固化されていて,通常生じる液の氷晶化による白濁は認められなかった。解凍は0°C水浴中で行なった。この結果,凍結処置胚のほぼ8割が回収された。回収初期胚の40~90%が培養により発達した。分離胚の凍結例では脱水処理時間を短縮化したものに高い生存率(50~100%)が得られた。融解後の初期胚14個の移植によって4匹の産子が得られた。
Bibliography:411159
ZZ00021434
ISSN:0385-9932
DOI:10.1262/jrd1977.32.106