カキ新品種'太月'

1. '太月'は,農林水産省果樹試験場安芸津支場(現独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において,1993年に'黒熊'に'太秋'を交雑して得た実生から選抜された,大果で中生のpollination variantの渋ガキである。2002年より「カキ安芸津20号」の系統名を付けてカキ第6回系統適応性検定試験に供試し,全国24か所の国公立試験研究機関において特性を検討した。この結果,選抜され,2007年に'太月'と命名し,公表された。また,2009年2月に種苗法に基づき,登録番号第...

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Published inKaju Kenkyuujo kenkyuu houkoku no. 14; pp. 25 - 38
Main Authors 山田, 昌彦, 佐藤, 明彦, 山根, 弘康, 三谷, 宣仁, 岩波, 宏, 白石, 美樹夫, 平川, 信之, 上野, 俊人, 河野, 淳, 吉岡, 美加乃#中島, 育子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 28.09.2012
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ISSN1347-3549
DOI10.24514/00002034

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Summary:1. '太月'は,農林水産省果樹試験場安芸津支場(現独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において,1993年に'黒熊'に'太秋'を交雑して得た実生から選抜された,大果で中生のpollination variantの渋ガキである。2002年より「カキ安芸津20号」の系統名を付けてカキ第6回系統適応性検定試験に供試し,全国24か所の国公立試験研究機関において特性を検討した。この結果,選抜され,2007年に'太月'と命名し,公表された。また,2009年2月に種苗法に基づき,登録番号第17492号として品種登録された。2. 樹勢は強く,樹姿は開張性である。雌花の着生は多く,雄花をわずかに着生する。冬季の新梢は濃赤褐色である。葉の形は基部のほうがやや幅広い。早期の生理落果に対しては,単為結果力が高い上,種子形成力も高いため,結実は安定しており,受粉樹の混植は不要である。後期落果はほとんど生じない。3. 果実成熟期は中生で,育成地では'松本早生富有'とほぼ同時期の11月上旬であった。果実重は大きく,'松本早生富有'および'平核無'の1.7倍で,育成地では平均459gであった。果皮色は黄橙色である。CTSD炭酸ガス脱渋(炭酸ガス100%・26℃で1日,その後,26℃の空気中で2日)で脱渋し,日持ちは11日程度で,'平核無'と同程度であった。育成地では果実赤道部の平均糖度は15.4%であった。肉質は,やや粗いが,'平核無'と同程度に軟らかく,果汁の量は多い。4. 果頂裂果およびへたすき果はほとんど発生しない。条紋は発生しやすく,系統適応性検定試験における汚損果の平均発生率は43%であった。条紋の発生程度の大きい果実は脱渋処理により軟化しやすく,税渋に適さない。5。東北地方南部以南のカキ栽培地域で広く栽培できる。
Bibliography:833806
ZZ20011205
ISSN:1347-3549
DOI:10.24514/00002034