ブドウ新品種‘オリエンタルスター’

1. ‘オリエンタルスター’は、農林水産省果樹試験場安芸津支場(現 農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において、1989年に安芸津21号に‘ルビーオクヤマ’を交雑して得た実生から選抜された、肉質が崩壊性で硬い紫赤色の大粒ブドウである。1999年よりブドウ安芸津24号の系統名を付けてブドウ第9回系統適応性検定試験に供試し、全国33か所の国公立試験研究機関において特性を検討した。2004年9月に農林水産省農作物新品種として‘オリエンタルスター’と命名、ぶどう農林22号と登録された。また、2007年3月に種苗法に基づき登録番号第14,914号として品種登録された。2. 樹勢は強い。長梢剪定では...

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Published inKaju Kenkyuujo kenkyuu houkoku no. 11; pp. 25 - 40
Main Authors 山田, 昌彦, 佐藤, 明彦, 山根, 弘康, 平川, 信之, 岩波, 宏, 吉永, 勝一, 三谷, 宣仁, 白石, 美樹夫, 小澤, 俊治, 古岡, 美加乃, 中島, 育子, 佐藤, 義彦, 間瀬, 誠子, 中野, 正明, 中畝, 良二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 09.08.2010
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ISSN1347-3549
DOI10.24514/00001948

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Summary:1. ‘オリエンタルスター’は、農林水産省果樹試験場安芸津支場(現 農研機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において、1989年に安芸津21号に‘ルビーオクヤマ’を交雑して得た実生から選抜された、肉質が崩壊性で硬い紫赤色の大粒ブドウである。1999年よりブドウ安芸津24号の系統名を付けてブドウ第9回系統適応性検定試験に供試し、全国33か所の国公立試験研究機関において特性を検討した。2004年9月に農林水産省農作物新品種として‘オリエンタルスター’と命名、ぶどう農林22号と登録された。また、2007年3月に種苗法に基づき登録番号第14,914号として品種登録された。2. 樹勢は強い。長梢剪定では花穂の着生は良好で、短梢剪定においても‘ネオマスカット’なみに花穂着生率が高かった。満開時と満開10~15日後にジベレリン25ppmに花(果)穂を浸漬処理することにより無核化栽培できる。開花前にストレプトマイシン200ppmを散布すると、無核化はさらに安定した。無処理の有核栽培では、長梢・短梢剪定樹とも新梢の強さにかかわらず結実が良く、適度に着粒した。花穂整形労力は多くなく、摘粒労力は‘巨峰’なみかそれ以下と評価された。3. 有核栽培では、系統適応性検定試験における果実成熟期の平均値は‘巨峰’より8日、‘ネオマスカット’より4日遅かった。育成地では、果粒重は10g程度であった。満開10~15日後にジベレリン25ppmに果房浸漬処理を行うと、1.5g程度果粒重が増大した。裂果性は非常に低く、系統適応性検定試験では‘巨峰’よりやや裂果しにくかった。‘巨峰’より脱粒しにくく、日持ちも長かった。糖度は系統適応性検定試験では‘巨峰’より1%程度高く、平均19%程度であった。酸含量は同様に‘巨峰’より0.16g/100mL低く、平均0.4g/100mL程度であった。果肉特性は崩壊性で、噛み切れやすくて硬い。香りはほとんど無い。渋みは一般に感じられない。4. 東北地方南部以南の‘巨峰’栽培地域における栽培に適する。系統適応性検定試験では、‘巨峰’と同程度の耐寒性があると評価されたが、果実成熟期は‘巨峰’より遅いため、寒冷な地域では十分に成熟しない可能性がある。黒とう病、ベと病抵抗性が‘巨峰’より劣るため、雨量の多い地方ではビニール被覆栽培が適当である。
Bibliography:ZZ20011205
793032
ISSN:1347-3549
DOI:10.24514/00001948