MS1-4 当科における舌癌の治療方針とその成績の検討

舌癌は口腔内で最も多い癌である. 頸部転移を生じることも多く, また切除により摂食・嚥下・構音など様々な機能障害が生じるため, 根治性と機能温存の両者を考慮して治療を進めていかなければならない. 今回は当科での舌癌の治療方針, 経過, 治療成績につき検討し報告する. 当科にて1990年より2005年の間に, 舌癌にて根治手術を行った症例は90例である. その内訳は, 男性53例, 女性37例, 年齢は21歳から88歳(平均年齢61歳)であり, 病期分類では:Stage I:32例, Stage II:36例, Stage III:16例, Stage IV:6例であった. 当科での舌癌治療は手...

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Published in日本口腔腫瘍学会誌 Vol. 19; no. 4; p. 243
Main Authors 長谷川和樹, 宮本日出雄, 大山厳雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔腫瘍学会 2007
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ISSN0915-5988

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Summary:舌癌は口腔内で最も多い癌である. 頸部転移を生じることも多く, また切除により摂食・嚥下・構音など様々な機能障害が生じるため, 根治性と機能温存の両者を考慮して治療を進めていかなければならない. 今回は当科での舌癌の治療方針, 経過, 治療成績につき検討し報告する. 当科にて1990年より2005年の間に, 舌癌にて根治手術を行った症例は90例である. その内訳は, 男性53例, 女性37例, 年齢は21歳から88歳(平均年齢61歳)であり, 病期分類では:Stage I:32例, Stage II:36例, Stage III:16例, Stage IV:6例であった. 当科での舌癌治療は手術を基本としている. その方針は, Stage I, early Stage II(T<3cm)は部分切除, 皮弁再建を必要とするadvanced Stage II(T>3cm), N1や皮弁再建を要するStage III, Stage IVは術前に化学放射線同時併用療法を行った後に手術を施行した. なおN0再建例では, 基本的に肩甲舌骨筋上郭清を同時に行った. 術前治療としては, ペプロマイシン少量持続皮下注と同時に外部照射30Gyを基本とし, 本化学療法の適応が不可能な症例では, 外部照射にCBDCA, UFT, TS-1などを併用した. 術前化学放射線療法終了後2~3週にて手術を行った. なお再建には, 遊離皮弁21例, 有茎皮弁3例, そして頬筋粘膜弁を7例に用いた. 術後経過は, 頸部後発転移11例, 原発巣再発3例, 頸部再発2例, 遠隔転移2例で, 最終的に原病死は5例であった. また重複癌が4例にみられた. 全例の5年累積生存率は89%で, 病因特異的生存率は93%であった.
ISSN:0915-5988