II-7 作業所利用中の精神障害者が働く体験から獲得するもの -インタビュー調査における3名のケースより

都内2カ所の精神障害者作業所利用者28名(男性16名, 女性12名)を対象にして, 作業所利用者が作業所における働く体験から何を獲得し, 働く体験をどのように意味づけているかを明らかにすることを目的に, インタビュー調査を実施した. その結果, 利用者が働く体験から得ているものは, 精神的安定, 生活のリズム, 対人交流, 工賃であり, 作業所で働く体験の意味を, 精神的安寧を生み出す存在, 励み・意欲を生み出す存在, やるべきこと(決まりごと)を生み出す存在ととらえていた. なお, 励み・意欲を生み出す存在と分類した者の中で, その人の生きる姿勢や価値観, 病気と共に生きる人生が長期的な時間...

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Published inこころの健康 Vol. 23; no. 2; p. 73
Main Authors 鎌田澄子, 北原佳代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本精神衛生学会 2008
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ISSN0912-6945

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Summary:都内2カ所の精神障害者作業所利用者28名(男性16名, 女性12名)を対象にして, 作業所利用者が作業所における働く体験から何を獲得し, 働く体験をどのように意味づけているかを明らかにすることを目的に, インタビュー調査を実施した. その結果, 利用者が働く体験から得ているものは, 精神的安定, 生活のリズム, 対人交流, 工賃であり, 作業所で働く体験の意味を, 精神的安寧を生み出す存在, 励み・意欲を生み出す存在, やるべきこと(決まりごと)を生み出す存在ととらえていた. なお, 励み・意欲を生み出す存在と分類した者の中で, その人の生きる姿勢や価値観, 病気と共に生きる人生が長期的な時間軸の中で一貫性をもって語られた内容があり, その3ケースの詳細を発表した. 利用者における働く体験は, 彼らに健やかな精神性を築き, 彼らのメンタルヘルスに寄与していることが推察された.
ISSN:0912-6945