3.筋皮神経単独損傷の1例

臨床症状, 筋電図所見より, 筋皮神経単独損傷と考えられる症例を経験した. 33歳男性で, 特に誘引なく右上腕二頭筋の筋萎縮を来たした. 力瘤ができなくなったということで受診となった. ヘラ絞り金属加工という職業に従事していて, 腋窩に棒を挟んで, 力を加えて捻るという動作が必要とされていた. 主な筋電図所見としては, 伝導検査で, エルブ点と腋窩の間に伝導ブロックを認めた. 針筋電図では, 上腕二頭筋に安静時異常電位, 烏口腕筋と上腕二頭筋に, 随意収縮時多相波を認めた. これまで4件8例の筋皮神経単独損傷の報告がある. 激しい運動や, 重量物の持ち上げが原因として考えられている. ほとんど...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 41; no. 1; pp. 57 - 58
Main Authors 菅谷睦, 古川俊明, 石田暉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.2004
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:臨床症状, 筋電図所見より, 筋皮神経単独損傷と考えられる症例を経験した. 33歳男性で, 特に誘引なく右上腕二頭筋の筋萎縮を来たした. 力瘤ができなくなったということで受診となった. ヘラ絞り金属加工という職業に従事していて, 腋窩に棒を挟んで, 力を加えて捻るという動作が必要とされていた. 主な筋電図所見としては, 伝導検査で, エルブ点と腋窩の間に伝導ブロックを認めた. 針筋電図では, 上腕二頭筋に安静時異常電位, 烏口腕筋と上腕二頭筋に, 随意収縮時多相波を認めた. これまで4件8例の筋皮神経単独損傷の報告がある. 激しい運動や, 重量物の持ち上げが原因として考えられている. ほとんどが, 安静によって症状が軽快している. 筋皮神経損傷の機序としては, (1)鳥口腕筋貫通部での絞拒, (2)肘関節過伸展によるoverstretch, (3)過大な直達外力による直接圧迫が挙げられている. 本例では, (1)と(2)の関与が大きいものと考えられた.
ISSN:0034-351X