15. 2つの催唾剤による唾液分泌促進と口腔乾燥感との関係

シェーグレン症候群や頭頚部放射線治療後の患者では唾液腺委縮により唾液分泌能が低下し, 口腔内乾燥感に加えて舌痛症や咀嚼嚥下困難をきたしてしまう. そのため治療薬として, 現在日本ではサリグレンとサラジェンの2つの催唾剤が使用されている. いずれもムスカリン受容体作動薬であり, 唾液腺のM3受容体を活性化することによる唾液分泌の促進を期待する薬物である. しかしながら, 我々はこれまでの研究の中で渇き中枢における同受容体の活性化は口渇感を増大させることを見出している. この神経核は血液脳関門がないため血中の薬物が直接作用しうる. つまり, 催唾剤の服用は唾液が十分分泌されていたとしても喉の渇きを...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 61; no. 4/5; pp. 129 - 130
Main Authors 小野堅太郎, 若杉佐藤奈緒, 井上弘子, 増田 渉, 稲永清敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.11.2007
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:シェーグレン症候群や頭頚部放射線治療後の患者では唾液腺委縮により唾液分泌能が低下し, 口腔内乾燥感に加えて舌痛症や咀嚼嚥下困難をきたしてしまう. そのため治療薬として, 現在日本ではサリグレンとサラジェンの2つの催唾剤が使用されている. いずれもムスカリン受容体作動薬であり, 唾液腺のM3受容体を活性化することによる唾液分泌の促進を期待する薬物である. しかしながら, 我々はこれまでの研究の中で渇き中枢における同受容体の活性化は口渇感を増大させることを見出している. この神経核は血液脳関門がないため血中の薬物が直接作用しうる. つまり, 催唾剤の服用は唾液が十分分泌されていたとしても喉の渇きを誘発してしまう可能性が考えられる. そこで本研究では, 覚醒下ラットにおいて2つの催唾剤による唾液分泌作用と口渇感誘発の指標となる飲水行動を調べた. 結果として, サラジェンは低濃度で有効な催唾作用を示すものの飲水行動が増加した. 一方, サリグレンは催唾作用に関してはサラジェンより高濃度必要であるものの, 飲水行動に変化はなかった.
ISSN:0368-6833