3. 唾液による歯周疾患のスクリーニング

歯周病の健診方法としては様々な疫学指標が提示され, 特に集団健診において臨床行為とほほ同じ歯周ポケットの測定が行われている. また, 従来の歯周病の疫学指標には, 代表歯のみの診査による妥当性をはじめ多くの問題が存在する. また, 従来の健診では, 歯科医師が直接口腔内を診査するため, 特に歯周病のスクリーニングにおいては一定時間に健診できる人数も限られている. これと比較して, 唾液を検体とした場合は, 短時間に多くの検体を採取することが可能であること, 唾液採取に際して特別な技術が不要であること, さらに血液と異なり非侵襲的に検体の採取が可能であることなど多くの利点がある. このような観点...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 47; no. 3; pp. 128 - 129
Main Author 野村義明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 01.05.2005
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:歯周病の健診方法としては様々な疫学指標が提示され, 特に集団健診において臨床行為とほほ同じ歯周ポケットの測定が行われている. また, 従来の歯周病の疫学指標には, 代表歯のみの診査による妥当性をはじめ多くの問題が存在する. また, 従来の健診では, 歯科医師が直接口腔内を診査するため, 特に歯周病のスクリーニングにおいては一定時間に健診できる人数も限られている. これと比較して, 唾液を検体とした場合は, 短時間に多くの検体を採取することが可能であること, 唾液採取に際して特別な技術が不要であること, さらに血液と異なり非侵襲的に検体の採取が可能であることなど多くの利点がある. このような観点から, 新たな健診のツールとして唾液中の酵素を測定することによって歯周病をスクリーニングする試みを行ってきた. 現在までに蓄積されたデータから, 刺激唾液を検体とした場合, 唾液中の遊離ヘモグロビン, 乳酸脱水素酵素(LDH), AST, ALTが歯周病スクリーニングのマーカーとして有用であることが明らかになった. さらに, この検査方法は試験的ではあるが, 実際に地域保健や企業健診で導入しており, その有用性が確かなものとなりつつある.
ISSN:1341-0725