3.褥瘡に対して持続吸引療法を行った頸髄損傷患者の1例

創をポリウレタンフィルムで密閉し, 持続的に陰圧をかける持続吸引療法は, 難治性皮膚潰瘍でその有用性が報告されている. 我々は完全四肢麻痺患者の褥瘡に対して持続吸引療法を行い, 良好な結果を得た. 症例は37歳, 男性. 24歳時に頸髄損傷を受傷し, C4レベル完全四肢麻痺となった. 職業上の都合のために座位をとる時間が長時間となり, 右殿部に褥瘡を生じ, 次第に増悪した. 入院の上, 2週間の持続吸引療法を行い, 褥瘡のポケット径は10.0cmから3.5cmまで改善した. その後は外来で経過を観察し, 約3ヵ月で創は完全に治癒した. 治療期間が短縮され, 早期に社会復帰をはかることが可能とな...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 41; no. 2; pp. 119 - 120
Main Authors 山田深, 川上途行, 向野雅彦, 田中尚文, 長谷公隆, 高橋宣成, 鈴木幹次郎, 松本真以子, 里宇明元, 千野直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.2004
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:創をポリウレタンフィルムで密閉し, 持続的に陰圧をかける持続吸引療法は, 難治性皮膚潰瘍でその有用性が報告されている. 我々は完全四肢麻痺患者の褥瘡に対して持続吸引療法を行い, 良好な結果を得た. 症例は37歳, 男性. 24歳時に頸髄損傷を受傷し, C4レベル完全四肢麻痺となった. 職業上の都合のために座位をとる時間が長時間となり, 右殿部に褥瘡を生じ, 次第に増悪した. 入院の上, 2週間の持続吸引療法を行い, 褥瘡のポケット径は10.0cmから3.5cmまで改善した. その後は外来で経過を観察し, 約3ヵ月で創は完全に治癒した. 治療期間が短縮され, 早期に社会復帰をはかることが可能となった. また安静治療に伴う精神的苦痛も大幅に軽減された. 高齢者と比べて栄養状態が良好であり, 感染のコントロールが得やすいこと, 体動による密閉状態の破綻がおこりにくいことから, 持続吸引療法は四肢麻痺患者の褥瘡に対して有用であると考えられた.
ISSN:0034-351X