1. 局所排気装置を用いた解剖台の開発によるホルムアルデヒド曝露低減化の試みとリアルタイムモニタリングによる評価

解剖学実習時に学生が受けるFA濃度は1,000ppbを超えていることが報告されている. 今回, 解剖学実習時の全体換気として用いられている排気を各解剖台に分散し, FAが室内全体に拡散する前に排気する局所排気方式とすることでFA曝露を大幅に低減しうる解剖台の開発をおこなった. まず, 全体換気のフィルターのメンテナンス, 排気ダクトを集合配管から単独配管に変更, 隣接する安置室の排気風量も利用することで, 解剖台1台あたり10m3/minの排気が見込めることがわかった. そこで, 解剖台の四辺にどの方向にも均一に排気される吸引口を設け, さらに, 解剖台の周囲を可撓性のあるウレタン製の壁で囲い...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 47; no. 5; p. 232
Main Authors 永渕祥大, 大和浩, 中島民治, 菊田彰夫, 欅田尚樹, 嵐谷奎一, 田中勇武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.09.2005
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:解剖学実習時に学生が受けるFA濃度は1,000ppbを超えていることが報告されている. 今回, 解剖学実習時の全体換気として用いられている排気を各解剖台に分散し, FAが室内全体に拡散する前に排気する局所排気方式とすることでFA曝露を大幅に低減しうる解剖台の開発をおこなった. まず, 全体換気のフィルターのメンテナンス, 排気ダクトを集合配管から単独配管に変更, 隣接する安置室の排気風量も利用することで, 解剖台1台あたり10m3/minの排気が見込めることがわかった. そこで, 解剖台の四辺にどの方向にも均一に排気される吸引口を設け, さらに, 解剖台の周囲を可撓性のあるウレタン製の壁で囲い込むことで排気効率を高める工夫をおこない, 1台あたり8m3/m程度の排気風量があればFA曝露を有効に防止できる解剖台を開発した. 狭い実験室でリアルタイムモニタリングによる局排の効果の確認においても良好な結果が得られ, また, 解剖実習室における学生の呼吸領域を想定した曝露濃度の測定においても, 全体換気では480ppbであったものが局所排気を稼働した場合には50ppbであった. 既存の全体換気の排気風量を局所排気に利用する改善により, 解剖実習中のFA曝露を防止することが可能であることが考えられた.
ISSN:1341-0725