NO.12 血管平滑筋異常収縮におけるカベオリン-1の役割

血管攣縮など血管平滑筋異常収縮の本態は, Rhoキナーゼ(ROK)によるCa2+非依存性収縮である. 我々は, ROK上流の異常収縮シグナル分子として, スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)とFynを同定し, SPCによる異常収縮はコレステロール依存性である事, また, SPCによってFynやROKが細胞質から膜ラフトというコレステロールが豊富な膜ドメインに移動する事を見出した. 膜ラフト局在蛋白のカベオリン-1は, 足場ドメインを介して多くのシグナル分子と直接相互作用する事から, 今回, カベオリン-1の血管平滑筋異常収縮の情報伝達への関与を検討した. カベオリン-1足場ドメイン部位を,...

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Published in山口医学 Vol. 57; no. 6; p. 226
Main Authors 岡田裕子, 岸博子, 川道穂津美, 加治屋勝子, 高田雄一, 徳森大輔, 小林誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.12.2008
Yamaguchi University Medical Association
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ISSN0513-1731

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Summary:血管攣縮など血管平滑筋異常収縮の本態は, Rhoキナーゼ(ROK)によるCa2+非依存性収縮である. 我々は, ROK上流の異常収縮シグナル分子として, スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)とFynを同定し, SPCによる異常収縮はコレステロール依存性である事, また, SPCによってFynやROKが細胞質から膜ラフトというコレステロールが豊富な膜ドメインに移動する事を見出した. 膜ラフト局在蛋白のカベオリン-1は, 足場ドメインを介して多くのシグナル分子と直接相互作用する事から, 今回, カベオリン-1の血管平滑筋異常収縮の情報伝達への関与を検討した. カベオリン-1足場ドメイン部位を, スキンド法により血管組織中の平滑筋細胞内に急速導入すると, 同部位は, SPCによる異常収縮のみならず, Ca2+依存性の正常収縮も抑制した. 以上より, カベオリン-1は正常・異常の両収縮の情報伝達系に関与すると考えられた.
ISSN:0513-1731