P-7. 途上国での国際歯科医療協力 ―10年間の変化

途上国では貧困が蔓延しており, それに付随して教育, 居住, 雇用, 医療などの社会的環境に関する諸問題が発生してきている. 中でも医療に対するニーズは高く, 多くの国際医療協力が行われている. このような背景に対し我々が1989年から行ってきたネパール王国における国際歯科医療協力は, 20回以上の派遣隊を数え活動内容および対象患者層も大きく変化してきている. そこで, 診療活動の評価を目的として12次隊(1998年)と21次隊(2007年)におけるテチョー村での診療対象患者について比較検討を行った. その結果, 診療対象患者においては男女比, 年齢層, 過去の受診歴とも若干の変化が見られ対象...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; p. 180
Main Authors 西野宇信, アミットカナル, 深井穫博, 安部一紀, 中村修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.01.2009
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:途上国では貧困が蔓延しており, それに付随して教育, 居住, 雇用, 医療などの社会的環境に関する諸問題が発生してきている. 中でも医療に対するニーズは高く, 多くの国際医療協力が行われている. このような背景に対し我々が1989年から行ってきたネパール王国における国際歯科医療協力は, 20回以上の派遣隊を数え活動内容および対象患者層も大きく変化してきている. そこで, 診療活動の評価を目的として12次隊(1998年)と21次隊(2007年)におけるテチョー村での診療対象患者について比較検討を行った. その結果, 診療対象患者においては男女比, 年齢層, 過去の受診歴とも若干の変化が見られ対象患者層の変化が推察された. また, 主訴および治療内容において「歯痛」および「アマルガム充填処置」の増加が認められたことよりう蝕の増加など疾病構造の変化が疑われた. 今回観察された変化は, 現地での食生活の変化(甘味料の増加)や歯科疾病に関する教育の浸透などいろいろな要素が相互に影響して生じているもの予想され, 今後はより一層保健活動を推進するとともに各要素の関連性なども検索してゆく必要があると考えられる.
ISSN:0368-6833