4.コンポジックスメッシュと広背筋皮弁による乳癌胸壁再発に対する胸壁切除再建の経験

乳癌胸壁再発に対し胸壁切除を行い, コンポジックスメッシュと広背筋皮弁により再建を行ったので報告する. 症例は36歳, 女性. 2001年4月, 右乳癌(T2N0M0stage IIA)に対し, 胸筋温存乳房切除術を施行. Scirrhous ca. f, ly1, v0, n0, ER+, PgR+であった. 術後補助療法としてLH-RHアナログ(2年間)+TAMを施行した. 2004年8月右第5肋骨に再発を認め, LH-RHアナログ再投与するも増大し, 2005年1月よりchemotherapyを行った. 4クール施行するもNCであったため7-9月に右胸壁に対し放射線照射(60Gy)を行っ...

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Published in山口医学 Vol. 55; no. 4; p. 148
Main Authors 長島由紀子, 前田訓子, 為佐路子, 山本 滋, 村松慶一, 岡 正朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.08.2006
Yamaguchi University Medical Association
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ISSN0513-1731

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Summary:乳癌胸壁再発に対し胸壁切除を行い, コンポジックスメッシュと広背筋皮弁により再建を行ったので報告する. 症例は36歳, 女性. 2001年4月, 右乳癌(T2N0M0stage IIA)に対し, 胸筋温存乳房切除術を施行. Scirrhous ca. f, ly1, v0, n0, ER+, PgR+であった. 術後補助療法としてLH-RHアナログ(2年間)+TAMを施行した. 2004年8月右第5肋骨に再発を認め, LH-RHアナログ再投与するも増大し, 2005年1月よりchemotherapyを行った. 4クール施行するもNCであったため7-9月に右胸壁に対し放射線照射(60Gy)を行った. 同年12月, 胸壁再発巣は画像上PRを認めていたが, 2006年2月のCTで胸壁再発巣の増大を認めた. 第5肋骨の肋軟骨近傍に径3×2cm大の再発巣を認め, 第5肋骨と上下の肋間筋を切除, コンポジックスクーゲルパッチおよび広背筋皮弁にて胸壁再建を行った. 乳癌術後の孤立性局所再発は10~35%と, 報告されるも, 手術療法と他の治療法とのRCTはなく, 治療方針は一定していない. 胸筋などの軟部組織のみを切除する軟性胸壁切除, 肋骨, 胸膜を合併切除する全胸壁切除があるが, いずれも創閉鎖に形成外科的手技が必要である. 本症例では胸壁全層切除術を行い, コンポジックスメッシュ+広背筋皮弁による胸壁再建を行い, 経過は良好である. 本法は, 血行再建が不要で, 充分な胸壁強度を保つことが可能であり, 胸壁切除をやむをえない症例に対しては有用な方法であると思われた.
ISSN:0513-1731