2.消化管出血で発症した小腸脂肪腫の1例

症例は82歳男性狭心症にて当院内科で加療中. 平成14年初めより腹痛, 嘔吐症状あり外来で加療を受けていたが改善せず14年6月末, 黒色便を認め消化器科に紹介され入院. 入院時所見は心下部の軽度の圧痛, 採血でHb7. 9と低下. 腹部レントゲン写真, 上部消化管検査, 大腸内視鏡検査ではとくに所見はみとめない. 腹部CTでは上腹部, 小腸壁に連続する約3cmの脂肪濃度のSOLを認めた. 腹痛, 嘔吐症状つづき小腸の狭窄病変を疑いガストログラフィンで造影を行った. 上部空腸に拡張した小腸をみとめ狭窄病変の存在を考えた. 後日バリウムを使用して小腸造影を行いトライツ靱帯を超えた上部空腸に直径3セ...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 1; p. 47
Main Authors 平原睦庸, 小林功, 小野久米夫, 原沢信雄, 新島和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2004
Kitakanto Medical Society
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ISSN1343-2826

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Summary:症例は82歳男性狭心症にて当院内科で加療中. 平成14年初めより腹痛, 嘔吐症状あり外来で加療を受けていたが改善せず14年6月末, 黒色便を認め消化器科に紹介され入院. 入院時所見は心下部の軽度の圧痛, 採血でHb7. 9と低下. 腹部レントゲン写真, 上部消化管検査, 大腸内視鏡検査ではとくに所見はみとめない. 腹部CTでは上腹部, 小腸壁に連続する約3cmの脂肪濃度のSOLを認めた. 腹痛, 嘔吐症状つづき小腸の狭窄病変を疑いガストログラフィンで造影を行った. 上部空腸に拡張した小腸をみとめ狭窄病変の存在を考えた. 後日バリウムを使用して小腸造影を行いトライツ靱帯を超えた上部空腸に直径3センチの腫瘍性病変を認めた. 以上より脂肪成分を主としたトライツ靱帯以深の小腸粘膜下腫瘍と診断, 外科手術を行った. トライツ靱帯より20センチ肛門側に基部のある2.8センチの陰茎亀頭用の腫瘍を見とめた. 組織的にも悪性所見はみとめず粘膜下脂肪腫であった. 下血は小腸脂肪腫の表面の魔欄により出血を起したためと考えた. 反復する腹痛, 嘔吐は小腸脂肪腫により腸閉塞を一時的におこしたためと考えた. 今回はCTで脂肪腫が小腸にあることが疑われ診断の糸口になった. 原因のわからない消化管出血や腹痛, 嘔吐症状があるときには小腸脂肪腫によることも考え小腸の造影など積極的に行う必要があると考えた.
ISSN:1343-2826