14.脳卒中患者の退院後の家庭内役割行動の変化

生活行動は個人の人格と社会的役割の両面から規定されている. 今回家庭生活における構造としての地位と機能としての役割行動が脳卒中という疾病の生起によってどのように変化するかを分析した. 【方法】退院後1年以上経った脳卒中患者69名を対象に役割調査を実施した. 本調査は, (イ)一般にその役割を誰がやるのが一番いいと思うか, (ロ)現在それを誰がやっているか, (ハ)発病前は誰がやっていたか, という質問に, 「私, 夫, 妻, 息子, 娘, 父, 母, 婿, 嫁, その他」の中から回答させた. 発病前と調査時の役割行動の変化をI. 不変((1)私→私, (2)他者→他者), II. 変化((3)...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 24; no. 5; pp. 280 - 281
Main Authors 佐直信彦, 盛合徳夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1987
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Abstract 生活行動は個人の人格と社会的役割の両面から規定されている. 今回家庭生活における構造としての地位と機能としての役割行動が脳卒中という疾病の生起によってどのように変化するかを分析した. 【方法】退院後1年以上経った脳卒中患者69名を対象に役割調査を実施した. 本調査は, (イ)一般にその役割を誰がやるのが一番いいと思うか, (ロ)現在それを誰がやっているか, (ハ)発病前は誰がやっていたか, という質問に, 「私, 夫, 妻, 息子, 娘, 父, 母, 婿, 嫁, その他」の中から回答させた. 発病前と調査時の役割行動の変化をI. 不変((1)私→私, (2)他者→他者), II. 変化((3)私→他者, (4)他者→私, (5)他者→他者)に分類し比較した. 【結果】男性では家事労働の遂行は発病前も低率であったが, 調査時「他者→私」に変わった者が世帯主群でみられた. しかし現在, これらの役割遂行者は高々20%前後であった. 祖父ではその配偶者と共に「私→他者」に移っていた. 女性では家事役割は「他者→私」は居らず, 「私→他者」に変わっていたが, それでも現在のこれら役割の遂行者は50~70%であった. 他者への移譲の度合は祖母が大で, 主婦で小であった. 【結論】家族の一員に脳卒中の発病という事象の生起があると, 本人のみならず, 他の家族成員の間で役割の再編成が行われるが, 性別, 家庭内位座, 家族員数, 再就労の有無などの要因により様相を異にした. 答 佐直信彦:患者自身の意識の変革, 社会, 心理的な統合には最も時間がかかる. 調査も退院後1年以上の者を対象としたのもその理由がある. 通院に患者さんの納得を得るとともに家族員の理解が重要である. 役割遂行や役割交代がうまくいっている患者さんとの接触をすすめたりもしている.
AbstractList 生活行動は個人の人格と社会的役割の両面から規定されている. 今回家庭生活における構造としての地位と機能としての役割行動が脳卒中という疾病の生起によってどのように変化するかを分析した. 【方法】退院後1年以上経った脳卒中患者69名を対象に役割調査を実施した. 本調査は, (イ)一般にその役割を誰がやるのが一番いいと思うか, (ロ)現在それを誰がやっているか, (ハ)発病前は誰がやっていたか, という質問に, 「私, 夫, 妻, 息子, 娘, 父, 母, 婿, 嫁, その他」の中から回答させた. 発病前と調査時の役割行動の変化をI. 不変((1)私→私, (2)他者→他者), II. 変化((3)私→他者, (4)他者→私, (5)他者→他者)に分類し比較した. 【結果】男性では家事労働の遂行は発病前も低率であったが, 調査時「他者→私」に変わった者が世帯主群でみられた. しかし現在, これらの役割遂行者は高々20%前後であった. 祖父ではその配偶者と共に「私→他者」に移っていた. 女性では家事役割は「他者→私」は居らず, 「私→他者」に変わっていたが, それでも現在のこれら役割の遂行者は50~70%であった. 他者への移譲の度合は祖母が大で, 主婦で小であった. 【結論】家族の一員に脳卒中の発病という事象の生起があると, 本人のみならず, 他の家族成員の間で役割の再編成が行われるが, 性別, 家庭内位座, 家族員数, 再就労の有無などの要因により様相を異にした. 答 佐直信彦:患者自身の意識の変革, 社会, 心理的な統合には最も時間がかかる. 調査も退院後1年以上の者を対象としたのもその理由がある. 通院に患者さんの納得を得るとともに家族員の理解が重要である. 役割遂行や役割交代がうまくいっている患者さんとの接触をすすめたりもしている.
Author 盛合徳夫
佐直信彦
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