NO.17 C型肝炎関連肝細胞癌のプロテオーム解析

【目的】HCV関連肝細胞癌(HCV-HCC)の発癌や進行に関与する蛋白, 及びその治療の標的になり得る蛋白を検出するため, 二次元電気泳動(2DE)と質量分析を用いたプロテオーム解析を行った. 【対象と方法】当科にて肝切除術を施行したHCV‐HCC21例に対し, 癌部と非癌部から抽出した蛋白を2DEにて分離した後, 両者間で発現に差のある蛋白を質量分析にて同定した. 【結果】癌部で増加している蛋白が10種類, 減少している蛋白が8種類同定された. 増加している蛋白のうち4種類はHSP70 familyに属する蛋白であり, これらは相関して同時に変動していた. glutamine synthet...

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Published in山口医学 Vol. 54; no. 2/3; p. 86
Main Authors 高島元成, 藏満保宏, 横山雄一郎, 飯塚徳男, 為佐卓夫, 岡田敏正, 竹本紀一, 坂本和彦, 沖田極, 中村和行, 岡正朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 30.06.2005
Yamaguchi University Medical Association
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ISSN0513-1731

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Summary:【目的】HCV関連肝細胞癌(HCV-HCC)の発癌や進行に関与する蛋白, 及びその治療の標的になり得る蛋白を検出するため, 二次元電気泳動(2DE)と質量分析を用いたプロテオーム解析を行った. 【対象と方法】当科にて肝切除術を施行したHCV‐HCC21例に対し, 癌部と非癌部から抽出した蛋白を2DEにて分離した後, 両者間で発現に差のある蛋白を質量分析にて同定した. 【結果】癌部で増加している蛋白が10種類, 減少している蛋白が8種類同定された. 増加している蛋白のうち4種類はHSP70 familyに属する蛋白であり, これらは相関して同時に変動していた. glutamine synthetaseは高分化型で増加する傾向が認められ, alpha enolaseは低分化型で有意に増加していた. 【結語】これらはHCV‐HCCの発癌過程において重要な役割を担うと思われ, 新たな診断や治療の標的になり得ると思われた.
ISSN:0513-1731