脳卒中患者の腓腹筋痙攣に対する芍薬甘草湯の効果

脳卒中後遺症の一つに腓腹筋痙攣がある. 本痙攣を性別, 年齢を一致させた3群, すなわち脳卒中外来患者, 脳卒中リハビリテーションの入院患者, 脳卒中の危険因子をもつ外来患者の各50例でその発生率を調査したところ, それぞれ22%, 8%, 12%であった. 各群間の発生率に有意差はなかったが, 脳卒中外来患者群は他群に比べ痙攣の程度が重い傾向を認めた. 今回の対象者は3群のうち脳卒中外来患者で週1回以上腓腹筋痙攣を生じる患者とした. 芍薬甘草湯エキス剤の服用は, 毎日就寝前に1回2.5~5.0 gとし, 4週後に腓腹筋痙攣に対する効果を判定した. 週1回以上痙攣が発生する患者は8例で, その...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 31; no. 11; p. 868
Main Authors 阪本次夫, 阪場貞夫, 大槻剛智, 星野昌伯
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1994
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:脳卒中後遺症の一つに腓腹筋痙攣がある. 本痙攣を性別, 年齢を一致させた3群, すなわち脳卒中外来患者, 脳卒中リハビリテーションの入院患者, 脳卒中の危険因子をもつ外来患者の各50例でその発生率を調査したところ, それぞれ22%, 8%, 12%であった. 各群間の発生率に有意差はなかったが, 脳卒中外来患者群は他群に比べ痙攣の程度が重い傾向を認めた. 今回の対象者は3群のうち脳卒中外来患者で週1回以上腓腹筋痙攣を生じる患者とした. 芍薬甘草湯エキス剤の服用は, 毎日就寝前に1回2.5~5.0 gとし, 4週後に腓腹筋痙攣に対する効果を判定した. 週1回以上痙攣が発生する患者は8例で, そのうち服用後痙攣の出現回数がほとんど消失した著明改善例は4例であった. 他方, 痙攣の回数は減少したが, まだ痙攣のため目が覚めてしまう軽度改善例は1例であった. 残り3例のうち1例は著しい改善を示したが, 偽アルドステロン症による浮腫のため2週間で中止し, 他の2例は数回の服用でやめてしまった. すなわち2週以上服用した患者6例のうち5例(83.3%)に改善を認めた. 以上の結果から, 脳卒中患者で腓腹筋痙攣を頻繁に訴えたら, 芍薬甘草湯は一度試してみる価値のある薬剤と考えた. なお本剤の副作用である偽アルドステロン症は服薬中止によって速やかに消失するが, 本剤使用の際注意すべき事項である.
ISSN:0034-351X