9. ラットにおける中枢コリン性アゴニスト刺激による口の渇き誘発作用

口渇中枢の一つである脳弓下器官のニューロンはニコチン, ムスカリン, アンジオテンシンII投与により興奮性反応を示すことをこれまでに報告してきた. しかし, 中枢へのムスカリンおよびアンジオテンシンII刺激による飲水行動は知られているが, ニコチン刺激による飲水行動は報告されていない. よって, 覚醒下ラットのニコチン脳室内投与後の飲水行動について調べた. ムスカリン, アンジオテンシンIIによる1時間の飲水量は濃度依存的に増加した. ニコチン投与によっても飲水量は増加したが, ムスカリン, アンジオテンシンII投与による飲水量と比べると, 高濃度が必要であった. 次にスライス標本を用いた細胞...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; p. 161
Main Authors 平瀬正輝, 小野堅太郎, 稲永清敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.01.2009
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:口渇中枢の一つである脳弓下器官のニューロンはニコチン, ムスカリン, アンジオテンシンII投与により興奮性反応を示すことをこれまでに報告してきた. しかし, 中枢へのムスカリンおよびアンジオテンシンII刺激による飲水行動は知られているが, ニコチン刺激による飲水行動は報告されていない. よって, 覚醒下ラットのニコチン脳室内投与後の飲水行動について調べた. ムスカリン, アンジオテンシンIIによる1時間の飲水量は濃度依存的に増加した. ニコチン投与によっても飲水量は増加したが, ムスカリン, アンジオテンシンII投与による飲水量と比べると, 高濃度が必要であった. 次にスライス標本を用いた細胞外記録における脳弓下器官ニューロンでのムスカリン, アンジオテンシンII投与による興奮は持続的であるのに対し, ニコチン投与による興奮は一過性であることが分かった. また, 単離細胞を用いたCaイメージング法でも同様の結果が得られた. 以上の結果よりアンジオテンシンIIやムスカリン投与と比べ, ニコチン投与による飲水量の増加がごくわずかしかみられなかったのは, 口渇中枢への薬物の作用時間の違いが影響しているのではないかと考えられた.
ISSN:0368-6833