舌癌のIntraoral cornを使用した電子線放射線治療による治療成績

目的:大阪大学歯学部附属病院歯科放射線科における舌癌に対する放射線治療症例のうち, Intraoral cornを使用した電子線による腔内照射を施行した症例について治療成績を検討し, 適応等を明らかにすること. 対象:1987年から2000年の14年間に当科を受診し, 根治的または準根治的にIntraoral cornを使用した電子線による腔内照射を施行した舌癌患者10例を対象とした. 男性6例, 女性は4例で, 年齢は53~87歳(中央値78.5歳)であった. 1997年のUICCのT分類では, T1:4例, T2:3例, T3:2例, T4:1例であり, 初診時N0:9例, N1:1例であ...

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Published in歯科放射線 Vol. 41; no. suppl; p. 51
Main Authors 柿本直也, 谷本恵子, 都橋志津子, 中谷温紀, 内山百夏, 村上秀明, 古川惣平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 30.09.2001
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ISSN0389-9705

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Summary:目的:大阪大学歯学部附属病院歯科放射線科における舌癌に対する放射線治療症例のうち, Intraoral cornを使用した電子線による腔内照射を施行した症例について治療成績を検討し, 適応等を明らかにすること. 対象:1987年から2000年の14年間に当科を受診し, 根治的または準根治的にIntraoral cornを使用した電子線による腔内照射を施行した舌癌患者10例を対象とした. 男性6例, 女性は4例で, 年齢は53~87歳(中央値78.5歳)であった. 1997年のUICCのT分類では, T1:4例, T2:3例, T3:2例, T4:1例であり, 初診時N0:9例, N1:1例であった. Intraoral cornを使用した電子線による腔内照射単独治療例は8例で, 使用エネルギーは9~15MeV, 照射線量は34.5~72.5Gy(中央値52.5Gy)であった. 外部照射併用症例は2例で, 外部照射線量はそれぞれ24.5Gy, 52Gy, 使用エネルギーは15MeV, 9MeV, 腔内照射線量は48Gy, 51Gyであった. 腔内照射の分割数は1 fraction/week~3 fraction/weekで照射した. 観察期間は7~64ヶ月(中央値12ヶ月)であった. 結果:2年局所制御率は全体で56%, T1+T2では75%, T3+T4では0%で, 統計学的な有意差が認められた(P<0.05). 放射線障害は舌軟組織部潰瘍が3例, 骨露出が1例であった. 結論:Intraoral cornを使用した電子線による腔内照射は, 高齢者や全身疾患を伴う有病者にも外来通院で施行可能な治療法であることがわかった. その中でもT1やT2といった早期舌癌に対しては有効な治療であり, 治療の適応となると考えられたが, T3やT4のような進行舌癌に対しては, 治療の適応とはならないと考えられた.
ISSN:0389-9705