いじめを生む社会

いわゆる社会部畑を長く担当しました. 事件や不正, 社会問題をよく扱いますから, 世の中の不幸を食い物にしているといったら大げさですが, 因果な分野だと思うことがあります. ちなみに, 最近, 世の中が多様で華やかになり, 新聞記者の希望分野も様々に分かれて, 昔のように「事件記者」に憧れて何が何でも社会部へ, という若い人は比較的少なくなったようです. しかし, 何であれ, 思いもかけぬ出来事に出くわして立ち上がり, 時代の新しい現象を現場から素描を重ねていくように取材・報道するのが社会部の役割であり, それが新聞報道の基本であることには今昔違いはありません. 1980年代以降, 社会問題と...

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Published inこころの健康 Vol. 23; no. 1; pp. 17 - 20
Main Author 玉木研二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本精神衛生学会 30.06.2008
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ISSN0912-6945

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Summary:いわゆる社会部畑を長く担当しました. 事件や不正, 社会問題をよく扱いますから, 世の中の不幸を食い物にしているといったら大げさですが, 因果な分野だと思うことがあります. ちなみに, 最近, 世の中が多様で華やかになり, 新聞記者の希望分野も様々に分かれて, 昔のように「事件記者」に憧れて何が何でも社会部へ, という若い人は比較的少なくなったようです. しかし, 何であれ, 思いもかけぬ出来事に出くわして立ち上がり, 時代の新しい現象を現場から素描を重ねていくように取材・報道するのが社会部の役割であり, それが新聞報道の基本であることには今昔違いはありません. 1980年代以降, 社会問題としてクローズアップされた「いじめ」も社会部の担当です. まず所轄の警察から事件(多くは被害者が自殺に至ったケースですが)の内容を聞き出して, 関係者先を回るなど取材を始めます. 今のように, 教育関係の官庁がこういう統計調査をしたり, その結果を発表したりするということはまずありませんでした. 警察が最初の情報発信地でした.
ISSN:0912-6945