13.門脈腫瘍塞栓を伴った肝細胞癌症例に対するリザーバー動注療法の検討

【目的】進行肝細胞癌に対する化学療法, 特に門脈腫瘍塞栓(Vp3, Vp4)例に対する化学療法は, 未だ確立された方法はなく, 投与する抗腫瘍薬の種類や投与方法によって, その治療効果は異なると考えられる. 今回我々は, Vp3, Vp4を伴う肝細胞癌症例に対するリザーバー動注療法の効果について検討した. 【対象及び方法】当科では, 平成11年8月~平成14年11月までの3年3ヶ月の期間に, 進行肝細胞癌に対するリザーバー動注療法を44例施行した. この内Vp3, Vp4を伴う症例は18例であり, これらを検討対象とした. 動注用カテーテルを肝動脈内に挿入して, 右大腿部または左鎖骨下の皮下に...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 1; pp. 51 - 52
Main Authors 長沼篤, 土田浩之, 中野貴子, 中橋寛隆, 豊田満夫, 長島真美子, 饗場正明, 新井弘隆, 小野里康博, 石原弘, 阿部毅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2004
Kitakanto Medical Society
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ISSN1343-2826

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Summary:【目的】進行肝細胞癌に対する化学療法, 特に門脈腫瘍塞栓(Vp3, Vp4)例に対する化学療法は, 未だ確立された方法はなく, 投与する抗腫瘍薬の種類や投与方法によって, その治療効果は異なると考えられる. 今回我々は, Vp3, Vp4を伴う肝細胞癌症例に対するリザーバー動注療法の効果について検討した. 【対象及び方法】当科では, 平成11年8月~平成14年11月までの3年3ヶ月の期間に, 進行肝細胞癌に対するリザーバー動注療法を44例施行した. この内Vp3, Vp4を伴う症例は18例であり, これらを検討対象とした. 動注用カテーテルを肝動脈内に挿入して, 右大腿部または左鎖骨下の皮下に動注リザーバーポートを留置した. CDDP 10mg, 5-FU 250mg/dayを週5日間動注し, 4週間を1クールとするlow-dose FP療法を施行した. 腫瘍マーカー, 画像等による治療効果の判定, 生命予後の判定, 副作用の調査を行った. 【結果】AFPは11例で, PIVKA-IIは12例で低下を認めた. 日本肝癌研究会の肝癌治療直接効果判定基準による治療効果の総合評価では, 著効例(CR)が0例, 有効例(PR)か5例, 不変例(NC)が7例, 進行例(PD)は6例であった. 副作用としては, 骨髄抑制, 嘔気などが認められた. 平均観察期間は約11ヶ月と不十分であったが, カプランマイヤー法による累積1年生存率57. 7%であった. 【考察及び結語】これまでにVp3, Vp4を伴う進行肝細胞癌に対する有効な治療法は殆どなかった. 今回の検討では平均観察期間が不十分ではあったが, Vp3, Vp4を伴う進行肝細胞癌であっても, リザーバー動注療法が予後を改善し得ることが期待された.
ISSN:1343-2826