日本語版児童期用敏感性尺度 (HSCS-C) の作成

「問題と目的」発達における個人と環境の相互作用を包括的に捉える枠組みとして感受性反応理論(Differential Susceptibility Theory)が注目を集めている. 本理論は, 適応のリスク要因となる脆弱性(vulnerability)をニュートラルな被影響性(susceptibility)として捉え, 環境との適合次第ではポジティブな可塑性要因(plasticity)としても機能しうることを示している. 感受性の指標としては個人の敏感さを表す感覚処理感受性が提示され, 測定尺度 Highly Sensitive Child Scale (HSCS)も開発されている. 感覚処理...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inパーソナリティ研究 Vol. 29; no. 1; pp. 8 - 10
Main Authors 岐部智恵子, 平野真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 01.07.2020
Online AccessGet full text
ISSN1348-8406

Cover

More Information
Summary:「問題と目的」発達における個人と環境の相互作用を包括的に捉える枠組みとして感受性反応理論(Differential Susceptibility Theory)が注目を集めている. 本理論は, 適応のリスク要因となる脆弱性(vulnerability)をニュートラルな被影響性(susceptibility)として捉え, 環境との適合次第ではポジティブな可塑性要因(plasticity)としても機能しうることを示している. 感受性の指標としては個人の敏感さを表す感覚処理感受性が提示され, 測定尺度 Highly Sensitive Child Scale (HSCS)も開発されている. 感覚処理感受性は敏感な感受性, 刺激細部の認知処理, 強い情動反応性や行動抑制を特徴とすることが示され, 気質, パーソナリティや共感性との関連も報告されている. HSCSは Aron and Aron が開発した成人用尺度を援用し児童期から青年期までを適用範囲として作成され, 日本語版も作成されているが, 日本語版では中高生を対象とした尺度作成であったため児童期にも使用可能な尺度作成が課題であった.
ISSN:1348-8406