吉川武彦 著「精神科医吉川武彦&ドクターKのボケ介護日誌」

著者は言わずと知れた, 名高い精神科医であり, 国立精神・神経センター精神保健研究所名誉所長であり, 本学会の前理事長であり, 現在は中部学院大学の研究科長・教授でもある. この人物が, 他でもない自らの父上の「ボケ」を経験し, その介護を経験して, それまで「心の健康」の専門家として学んできたことをどのように活かし, それらのことがどのように通用しなかったか, それらのことをどのように考え直すに至ったかを, 率直に綴った本が出た. この本の一つのストーリーは, 著者自身が, あるいは「あとがき」で著者が「私の分身」という思わせぶりな紹介をするドクターKが, 肉親である父上の「認知症」状態に接...

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Published inこころの健康 Vol. 23; no. 2; pp. 84 - 85
Main Author 影山隆之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本精神衛生学会 01.12.2008
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ISSN0912-6945

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Summary:著者は言わずと知れた, 名高い精神科医であり, 国立精神・神経センター精神保健研究所名誉所長であり, 本学会の前理事長であり, 現在は中部学院大学の研究科長・教授でもある. この人物が, 他でもない自らの父上の「ボケ」を経験し, その介護を経験して, それまで「心の健康」の専門家として学んできたことをどのように活かし, それらのことがどのように通用しなかったか, それらのことをどのように考え直すに至ったかを, 率直に綴った本が出た. この本の一つのストーリーは, 著者自身が, あるいは「あとがき」で著者が「私の分身」という思わせぶりな紹介をするドクターKが, 肉親である父上の「認知症」状態に接し, 当事者と, あるいは母上と, どのように向き合い, 戸惑い, 苦労してきたか, という家族の物語である. しかしこの本のもう一つのストーリーは, 著者が群馬の病院で, 沖縄で, 東京都内で, 望ましい地域精神保健のあり方を模索してきたプロセスであり, それは言い換えれば精神科医・地域精神保健家としての著者の歴史の物語である.
ISSN:0912-6945