杖使用歩行時における杖にかかる最大荷重と肩および肘関節負担度

「要旨」 本研究の目的は一側上肢で杖を用いた歩行の際に, 杖にかかる最大荷重率および杖使用側の肩・肘関節にかかる負担度を4種類の杖で比較検討することである. 健常成人を対象として, T字杖(T杖), 四点杖(Q杖), ロフストランド杖(L杖)および松葉杖(A杖)に最大荷重をさせた平地歩行を行った. 動作解析には三次元動作解析装置(VICON512)および床反力計(AMTI)を使用した. 負担度は動作中の関節モーメントの値を, 筋力測定機器(KIN-COM)により測定した随意最大肩内転・肘伸展モーメントの値で除して正規化した. 最大荷重率はT杖で体重の44.9%, Q杖で59.2%, L杖で66...

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Published in新潟医療福祉学会誌 Vol. 3; no. 1; pp. 69 - 76
Main Authors 相馬俊雄, 大西秀明, 百瀬公人, 大山峰生, 山本澄子, 黒川幸雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 新潟医療福祉学会 2003
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ISSN1346-8774

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Summary:「要旨」 本研究の目的は一側上肢で杖を用いた歩行の際に, 杖にかかる最大荷重率および杖使用側の肩・肘関節にかかる負担度を4種類の杖で比較検討することである. 健常成人を対象として, T字杖(T杖), 四点杖(Q杖), ロフストランド杖(L杖)および松葉杖(A杖)に最大荷重をさせた平地歩行を行った. 動作解析には三次元動作解析装置(VICON512)および床反力計(AMTI)を使用した. 負担度は動作中の関節モーメントの値を, 筋力測定機器(KIN-COM)により測定した随意最大肩内転・肘伸展モーメントの値で除して正規化した. 最大荷重率はT杖で体重の44.9%, Q杖で59.2%, L杖で66.7%, A杖で73.6%であった. 負担度はT杖では肩関節21.0%, 肘関節61.5%, Q杖は26.3%と60.9%であり, 肘関節が肩関節より有意に大きな値を示した(p<0.01). 一方, L杖では59.0%と43.2%, A杖では38.8%と57.8%であり有意な差はみられなかった(p>0.1). これらの結果は部分荷重歩行訓練を指導する際の杖を選択する指標の一つになると考えられる.
ISSN:1346-8774