2. 進行期食道癌に対する放射線治療成績の検討

【目的】当科における食道癌に対する放射線治療成績を解析し, とくに同時併用化学療法の有用性について検討する. 【対象・方法】1999年1月から2006年12月までに当科で根治的に放射線治療を施行したII-III期の食道扁平上皮癌88例を対象とした. 年齢は48歳から93歳(中央値71歳), 性別は男性74例, 女性14例であった. 臨床病期別(UICC, 2002)にはII期29例(IIA期23例, IIB期6例), III期59例であった. 放射線治療は6MV以上の高エネルギーX線治療装置を用い, 原発巣および臨床的に転移と診断されたリンパ節を含めた照射野で行った. 化学療法を同時併用した症...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 1; pp. 97 - 98
Main Authors 野中哲生, 櫻井英幸, 石川仁, 村田真澄, 塩谷真里子, 白井克幸, 原島浩一, 中野隆史, 中島政信, 加藤広行, 桑野博行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2011
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ISSN1343-2826

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Summary:【目的】当科における食道癌に対する放射線治療成績を解析し, とくに同時併用化学療法の有用性について検討する. 【対象・方法】1999年1月から2006年12月までに当科で根治的に放射線治療を施行したII-III期の食道扁平上皮癌88例を対象とした. 年齢は48歳から93歳(中央値71歳), 性別は男性74例, 女性14例であった. 臨床病期別(UICC, 2002)にはII期29例(IIA期23例, IIB期6例), III期59例であった. 放射線治療は6MV以上の高エネルギーX線治療装置を用い, 原発巣および臨床的に転移と診断されたリンパ節を含めた照射野で行った. 化学療法を同時併用した症例(CRT)は51例あったが, 用いた薬剤はシスプラチン+5FU(CRT-FP)が31例, ドセタキセル(CRT-DOC)が20例であった. 【結果】全例の3年原病生存率(CSS)は30%で, 臨床病期別にはII期44%, III期24%であった. そのうちCRT症例の3年CSSは41%であり, 照射単独症例(RT)の19%よりも良好であったが統計学的に有意な差とはならなかった(p=0.258). 臨床病期別にCRTの有用性を検討したところ, II期ではCRT群で予後が良好であったが(p=0.069), 多変量解析では化学療法の有無が独立した予後因子としては残らなかった(p=0.135). また, CRT-FP群とCRT-DOC群の間で治療成績に明らかな差は認められなかった. 【結語】進行食道癌に対するこれまでの同時化学放射線療法は有用であると思われた. しかしながら, III期症例に対する治療成績は不良であり, 今後, 放射線治療方法や化学療法内容の検討が必要と思われた.
ISSN:1343-2826