12.腹痛を主訴とした急性大動脈解離の1例

患者は27歳の男性. 既往は高血圧. 平成17年4月22日19時頃に突然強い上腹部痛と脱力感を認めた. 近医受診し, 急性胃腸炎の診断で入院となった. 翌23日症状が軽快したため退院, 帰宅後腹痛が再燃したが自宅で様子を見ていた. 24日下血を認め, 夕方近医を再受診したが, 高度の肝腎膵酵素の上昇(BUN47.2mg/dl, Cr. 4.2mg/dl, AST4930IU/l, ALT4210IU/l, Amy1041IU/l)および代謝性アシドーシス(PH7.19, BE-17.8mmol/l)を認めたため, 重症膵炎疑いで当院救急外来に25日紹介となった. 来院時意識は清明であったが,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 55; no. 3; p. 311
Main Authors 高橋有我, 浜田邦弘, 川手進, 須納瀬豊, 堤裕史, 高橋徹, 竹吉泉, 大和田進, 森下靖雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2005
Online AccessGet full text
ISSN1343-2826

Cover

More Information
Summary:患者は27歳の男性. 既往は高血圧. 平成17年4月22日19時頃に突然強い上腹部痛と脱力感を認めた. 近医受診し, 急性胃腸炎の診断で入院となった. 翌23日症状が軽快したため退院, 帰宅後腹痛が再燃したが自宅で様子を見ていた. 24日下血を認め, 夕方近医を再受診したが, 高度の肝腎膵酵素の上昇(BUN47.2mg/dl, Cr. 4.2mg/dl, AST4930IU/l, ALT4210IU/l, Amy1041IU/l)および代謝性アシドーシス(PH7.19, BE-17.8mmol/l)を認めたため, 重症膵炎疑いで当院救急外来に25日紹介となった. 来院時意識は清明であったが, 敗血症性ショックの状態であった. 腹部は膨隆気味で全体的に圧痛を認めた. 造影CTにて胸部~総腸骨動脈領域にわたる急性大動脈解離(DeBakey IIIb型)と, 肝, 右腎および腸管の広範な虚血を認めたため, 緊急手術となった. 開腹所見で上腸間膜動脈領域は根部より血流障害があり, 同領域の腸管は小腸, 右半結腸とも完全に壊死に陥っていたため, 壊死腸管の切除を行つた. 術後はICUで集中管理を行ったが, 全身状態は徐々に悪化, 30日に他界された. 若年者における解離性大動脈瘤は稀であるが, 突然発症の腹痛に対しては本疾患も念頭に入れ精査を行うことが重要であると思われた.
ISSN:1343-2826