片側骨盤自律神経温存術後の膀胱機能に関する実験的検討
直腸癌に対して自律神経温存を片側にとどめた揚合,膀胱機能はどの程度温存されるかを検討した.イヌについて骨盤内自律神経の両側温存,片側温存および両側切離の3群を作成し,尿水力学的方法(urodynamic study)により膀胱機能を術後8週間にわたり週1回測定し,片側温存群の成績を他の2群と対比検討した.その結果,両側切離群の膀胱機能は高度に障害されたのに対し,片側温存群では最大膀胱静止圧が上昇するために膀胱収縮圧は両側温存群よりも有意に低値を示したが,術後全経過を通じて排尿反射がみられ,最大膀胱内圧と残尿量は両側温存群とほぼ同様に推移した.また最大膀胱容量,膀胱コンプライアンスは術前値の70...
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| Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 44; no. 2; pp. 153 - 159 |
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| Main Authors | , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | English Japanese |
| Published |
日本大腸肛門病学会
01.03.1991
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| Subjects | |
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| ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI | 10.3862/jcoloproctology.44.153 |
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| Summary: | 直腸癌に対して自律神経温存を片側にとどめた揚合,膀胱機能はどの程度温存されるかを検討した.イヌについて骨盤内自律神経の両側温存,片側温存および両側切離の3群を作成し,尿水力学的方法(urodynamic study)により膀胱機能を術後8週間にわたり週1回測定し,片側温存群の成績を他の2群と対比検討した.その結果,両側切離群の膀胱機能は高度に障害されたのに対し,片側温存群では最大膀胱静止圧が上昇するために膀胱収縮圧は両側温存群よりも有意に低値を示したが,術後全経過を通じて排尿反射がみられ,最大膀胱内圧と残尿量は両側温存群とほぼ同様に推移した.また最大膀胱容量,膀胱コンプライアンスは術前値の70~80%に回復した.以上より,直腸癌に対する片側自律神経温存手術は術後の膀胱機能の保持に有用な方法と考えられた. |
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| ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
| DOI: | 10.3862/jcoloproctology.44.153 |