高カルシウム血症を合併した直腸Ra原発扁平上皮癌の1例

われわれは高カルシウム(以下Caと略)血症を合併した直腸Ra原発の扁平上皮癌を経験した.大腸原発の扁平上皮癌の発生は非常に稀で外国文献上51報告例を数えるにすぎない.高Ca血症を合併した報告はわれわれの症例が第1例と思われる.大腸腺癌との比較,組織発生,高Ca血症につき若干の文献的考察を加え報告する. 症例は44歳男性.4カ月来の血便を主訴として近医を受診したところ直腸鏡にて歯状線より10cm口側に限局性潰瘍型病変を指摘され生検にて未分化癌と診断された.当院にて低位前方切除術を施行した.術後6カ月後より肝転移にて再発し重篤な高Ca血症を伴った.難治性の高Ca血症であったが,mithramyci...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 38; no. 1; pp. 24 - 31
Main Authors 太田, 恵一朗, 安達, 実樹, 池永, 達雄, 松谷, 章司, 須崎, 紳一郎, 小林, 和生, 沢田, 寿仁, 森, 俊幸, 吉田, 和彦, 北村, 隆信
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 1985
Subjects
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.38.24

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Summary:われわれは高カルシウム(以下Caと略)血症を合併した直腸Ra原発の扁平上皮癌を経験した.大腸原発の扁平上皮癌の発生は非常に稀で外国文献上51報告例を数えるにすぎない.高Ca血症を合併した報告はわれわれの症例が第1例と思われる.大腸腺癌との比較,組織発生,高Ca血症につき若干の文献的考察を加え報告する. 症例は44歳男性.4カ月来の血便を主訴として近医を受診したところ直腸鏡にて歯状線より10cm口側に限局性潰瘍型病変を指摘され生検にて未分化癌と診断された.当院にて低位前方切除術を施行した.術後6カ月後より肝転移にて再発し重篤な高Ca血症を伴った.難治性の高Ca血症であったが,mithramycinが著効した.慢性DICを併発し術後9カ月で死亡した.剖検による肝転移巣の組織所見では角化像を認め,しかも腺管構造は全く認められず粘液染色も陰性であり,低分化扁平上皮癌と診断した.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.38.24