骨修飾薬の使用に関する連携システム

骨修飾薬(以下,BMA)は,骨吸収を阻害する薬剤である。骨関連事象を抑制し,患者の予後や生活の質の改善をもたらす大変有用な薬剤であるが,有害事象として顎骨壊死(以下,ONJ)の発症が問題である。BMA を安心して使用するには,ONJ の予防,ONJ 発症後の対応が重要である。静岡県西部地区では,浜松市歯科医師会を中心に BMA 投与に関する連携システムを構築し対応している。本システムを活用し,ONJ 発症後の終末期がん患者の在宅療養を支援することが可能であった症例について報告する。症例は 73 歳男性の終末期胸腺癌患者で,A 大学病院にて骨転移に対してゾレドロン酸を使用された。左下顎側切歯の抜...

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Published inRonen Shika Igaku Vol. 29; no. 3; pp. 307 - 312
Main Authors 龍口 幹雄, 大野 友久, 相澤 秀夫, Ohno Morihiro, Saikawa Takahiro, 永江 浩史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年歯科医学会 2015
Japanese Society of Gerodontology
Subjects
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ISSN0914-3866
1884-7323
DOI10.11259/jsg.29.307

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Summary:骨修飾薬(以下,BMA)は,骨吸収を阻害する薬剤である。骨関連事象を抑制し,患者の予後や生活の質の改善をもたらす大変有用な薬剤であるが,有害事象として顎骨壊死(以下,ONJ)の発症が問題である。BMA を安心して使用するには,ONJ の予防,ONJ 発症後の対応が重要である。静岡県西部地区では,浜松市歯科医師会を中心に BMA 投与に関する連携システムを構築し対応している。本システムを活用し,ONJ 発症後の終末期がん患者の在宅療養を支援することが可能であった症例について報告する。症例は 73 歳男性の終末期胸腺癌患者で,A 大学病院にて骨転移に対してゾレドロン酸を使用された。左下顎側切歯の抜歯後に ONJ を発症したため,ゾレドロン酸は中止となった。A 大学病院歯科口腔外科にてのちに腐骨除去された。その後,左下臼歯部に歯周炎による排膿があり,外来で定期的に洗浄および抗菌薬投与にて対応されていた。終末期となり A 大学病院に入院されたが,在宅療養を希望されたため退院。 ケアマネジャーの紹介により本システムを使用して歯科訪問診療にて対応した。数回の歯科処置を実施し,最期まで良好な口腔内環境を維持し経口摂取を支援できた。在宅療養を希望する終末期がん患者で ONJ を発症している,あるいはそのリスクがある場合,本システムは大きな支援となると考えられる。より多くの患者が恩恵を受けられるよう,今後も本システムの周知活動を各方面に続け,発展させていきたい。
ISSN:0914-3866
1884-7323
DOI:10.11259/jsg.29.307