オフィオライト研究の新しい局面 : オマーンオフィオライトを例として
オフィオライト研究は今新たな局面を迎えつつある.当初,過去の海洋地殻-上部マントルとみなされたオフィオライトの成因は,トルードス論争以降,その大部分は沈み込み帯上で形成されたとする見方が支配的となった.最近,オフィオライト成因論にとって重要な2つの新知見がもたらされた.沈み込み帯の反対側に位置しているチリ海嶺から島弧的特徴を有するMORBが報告されたこと,および,MORBの組成が大洋毎に微妙に異なっているという事実である.一方,世界最大・最良の露出状況のオフィオライトとして有名なオマーンオフィオライトに関しては,多数の研究がなされ,その地質や構造の特徴が良く理解されているにもかかわらず,その成...
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| Published in | 地質学雑誌 Vol. 108; no. 8; pp. 520 - 535 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本地質学会
15.08.2002
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| ISSN | 0016-7630 1349-9963 |
| DOI | 10.5575/geosoc.108.520 |
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| Summary: | オフィオライト研究は今新たな局面を迎えつつある.当初,過去の海洋地殻-上部マントルとみなされたオフィオライトの成因は,トルードス論争以降,その大部分は沈み込み帯上で形成されたとする見方が支配的となった.最近,オフィオライト成因論にとって重要な2つの新知見がもたらされた.沈み込み帯の反対側に位置しているチリ海嶺から島弧的特徴を有するMORBが報告されたこと,および,MORBの組成が大洋毎に微妙に異なっているという事実である.一方,世界最大・最良の露出状況のオフィオライトとして有名なオマーンオフィオライトに関しては,多数の研究がなされ,その地質や構造の特徴が良く理解されているにもかかわらず,その成因を始め様々な問題がいまだに論争されている.本論文では,オマーンオフィオライト研究をレビューするとともに,日本の調査隊による最新の成果の一端を紹介する.そして,オフィオライト研究の新たな局面について考察する. |
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| ISSN: | 0016-7630 1349-9963 |
| DOI: | 10.5575/geosoc.108.520 |