血清クレアチニン低値 (8mg/dl未満) の透析導入例の検討

1981年より1990年までの10年間にクレアチニン8mg/dl未満で血液透析に導入された男性43例, 女性67例の計110例を対象に, 透析導入時の問題点について検討した. 原疾患の内訳は, 糖尿病が37例と最も多く, 次いで腎硬化症32例, 慢性腎炎23例, アミロイドーシス9例, SLE 3例, その他6例であった. 導入時の臨床症状としては, 心不全, 乏尿, 高カリウム血症, 全身浮腫, アシドーシス, 食思不振などのため, 透析に導入されていたが, 臨床症状が比較的軽度でクレアチニン8mg/dl未満で透析に導入された症例は26例であった. 導入後1か月以内に22例が死亡し, 透析継...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 11; pp. 1665 - 1670
Main Authors 原田, 孝司, 白石, 和孝, 大園, 恵幸, 柴田, 龍二郎, 柴田, 哲雄, 安森, 亮吉, 原, 耕平, 田所, 正人, 田浦, 幸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.11.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1665

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Summary:1981年より1990年までの10年間にクレアチニン8mg/dl未満で血液透析に導入された男性43例, 女性67例の計110例を対象に, 透析導入時の問題点について検討した. 原疾患の内訳は, 糖尿病が37例と最も多く, 次いで腎硬化症32例, 慢性腎炎23例, アミロイドーシス9例, SLE 3例, その他6例であった. 導入時の臨床症状としては, 心不全, 乏尿, 高カリウム血症, 全身浮腫, アシドーシス, 食思不振などのため, 透析に導入されていたが, 臨床症状が比較的軽度でクレアチニン8mg/dl未満で透析に導入された症例は26例であった. 導入後1か月以内に22例が死亡し, 透析継続は80例で, 中止が8例あった. しかし, 1年後には59例が死亡した. 導入後1か月以内に死亡した例については, 障害臓器数が増加するほど多数みられ, 多臓器障害や重篤な感染症, 凝固障害などを有したものは, 特に予後不良であった. しかし, 障害臓器を有しない例では1か月以内の死亡例を認めなかった. これらの成績より, クレアチニン8mg/dl未満であっても, 臨床症状を加味して十分検討し, 臓器の障害が出現する以前から早期に透析に導入することが, 予後の上で重要であると考えられた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1665