PerioとEndo 病理形態学的立場からみた, 歯髄と歯周組織疾病の関連性について
歯髄組織と歯肉組織は発生学的にはともに間葉性(中胚葉性)の原基から由来するものであり, 生物学的にきわめて密接な相関関係を有している. 本symposiumでは学会長の要望に従って, 私は病理形態学的立場から見た両者の関連性を次の項目について解説を試みたい. 1)歯髄組織と歯周組織はともに炎症の成立する場であり常に同時に同様の反応を示すものである. これらの両組織に起こる病変の主体は炎症であるが, 生体の局所に加えられた種々の有害な刺激に対する局所の反応性変化は, 常に血管とその周囲の問葉系組織(結合組織)に起こるもので, 血管と間葉系組織の存在しないところには炎症は成立しないことからも, 概...
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| Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 17; no. 1; pp. 126 - 127 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本歯周病学会
01.03.1975
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0385-0110 |
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| Summary: | 歯髄組織と歯肉組織は発生学的にはともに間葉性(中胚葉性)の原基から由来するものであり, 生物学的にきわめて密接な相関関係を有している. 本symposiumでは学会長の要望に従って, 私は病理形態学的立場から見た両者の関連性を次の項目について解説を試みたい. 1)歯髄組織と歯周組織はともに炎症の成立する場であり常に同時に同様の反応を示すものである. これらの両組織に起こる病変の主体は炎症であるが, 生体の局所に加えられた種々の有害な刺激に対する局所の反応性変化は, 常に血管とその周囲の問葉系組織(結合組織)に起こるもので, 血管と間葉系組織の存在しないところには炎症は成立しないことからも, 概念的には両組織には常に同時に同様の局所の防禦的反応を示すし, また巨視的には全身的な一般代謝過程が歯や歯周組織に影響をおよぼすことも考慮する必要がある. 2)両組織の相関関係を知る上で特にその交通路の実態を熟知する必要性. 両組織は種々の交通路をもって互に連結しているので, 何れか一方に原発した病変は容易に他の一方に波及し同様の病変を起こす可能性を持っている. |
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| ISSN: | 0385-0110 |