子宮頸癌傍大動脈リンパ節転移症例への放射線治療成績

「抄録」目的 傍大動脈リンパ節(PAN)転移を有する進行子宮頸癌に対する根治的放射線治療の有効性と毒性を検討することを目的として, 後方視的に治療成績を検討した. 対象と方法 2008年から2012年にかけて, CT画像に基づくPAN転移があり, 他の遠隔転移のない症例に対し, 骨盤及びPAN領域へ根治目的に放射線治療を施行した10例を対象とした. FIGO病期分類のII期からIV A期の症例が含まれている. 放射線治療は外部照射と腔内照射を併用した. 外部照射は全骨盤およびPAN領域に1.8Gy/1回の通常分割で総線量50.4~54Gyを目標に施行された. 結果 高齢のため放射線単独治療を行...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 265 - 273
Main Authors 五味弘道, 篠崎美緒, 岡田幸法, 阿部達之, 中島康雄, 大原樹, 戸澤晃子, 鈴木直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 聖マリアンナ医科大学医学会 01.03.2015
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ISSN0387-2289

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Summary:「抄録」目的 傍大動脈リンパ節(PAN)転移を有する進行子宮頸癌に対する根治的放射線治療の有効性と毒性を検討することを目的として, 後方視的に治療成績を検討した. 対象と方法 2008年から2012年にかけて, CT画像に基づくPAN転移があり, 他の遠隔転移のない症例に対し, 骨盤及びPAN領域へ根治目的に放射線治療を施行した10例を対象とした. FIGO病期分類のII期からIV A期の症例が含まれている. 放射線治療は外部照射と腔内照射を併用した. 外部照射は全骨盤およびPAN領域に1.8Gy/1回の通常分割で総線量50.4~54Gyを目標に施行された. 結果 高齢のため放射線単独治療を行った1例以外は化学療法同時併用放射線治療を施行した. 観察期間は中央値24か月(分布範囲9~37か月)だった. 全例予定の治療を完遂できた. 2年局所制御率, 2年PAN領域制御率はともに77%だったが, 遠隔転移が5例(50%)に発生し, 2年全生存率が55%で2年無病生存率が20%だった. 急性血液毒は grade 4 が1例のみ発生したが他は grade 3 以下だった. 急性非血液毒は grade 2 の胃炎が1例, 膀胱炎が2例の他は全て grade 1 以下だった. 遅発毒性は, grade 2 の胃炎が1例の他は全て grade 1 以下だった. 結論 子宮頸癌PAN転移への放射線治療は, 併用化学療法を含め, 安全に遂行できた. 局所制御, PAN領域制御は良好だったが, 遠隔転移が半数に出現し, 生存率は満足できるものではなかった. 遠隔転移抑制法の検討の必要性が示唆された.
ISSN:0387-2289